第9話 「ダグラム奪回」

バックス 「見ろ、連邦軍の新手だ」
ロッキー 「ずいぶんと来やがったな」
バックス 「洗いざらい持っていく気だぞ」
ロッキー、キャナリー、バックス「!」
デスタン 「まて、私だ。デスタンだ」
ロッキー 「なんだいあんたか。もうすこしで体に風穴を開けちまうところだったぜ」
デスタン 「冗談じゃない気をつけてくれたまえ」
ロッキー 「気をつけるのはあんたの方だろ。こんなときに合図もなしに後ろに回るやつは撃たれたって文句は言えないぜ」
デスタン 「暴言だぞ君」
ロッキー 「フン」
デスタン 「き、君、今の言葉を取り消したまえ」
ロッキー 「がなりなさんな。それよりそんなに突っ立ってちゃあ下から丸見えだぜ」
デスタン 「はっ」
ロッキー 「ふふふふはははは、ま、味方同士いがみ合いはよそうや」
バックス 「デスタン、これからどうする」
デスタン 「わたしはみんなを連れてボナールへ行く。あそこは独立派の力が強い。我々の組織に何かあったらボナールへ行けというのが、かねてからのサマリン博士の指示だ」

サブタイトル「ダグラム奪回」

デスタン 「すぐボナールへ向けて出発するぞ」
ゲリラ一同 「おお!」
デスタン 「バックス、あんたはどうする」
バックス 「わたしはカーディナルにのこる。新しいアジトも作らんといかんし、サマリン博士の生死も確かめたいのでな」
ロッキー 「肝心なことを忘れてんじゃねえのか。奴らに取られちまったコンバットアーマーのほうは一体どうするつもりだ。放っとく手はねえだろうが」
デスタン 「ダグラムは我々の独立への熱い思いの結晶だ。君に言われんでも頭から離れたことはない。だがこれだけの武器、これだけの人員で何ができるって言うんだ。この悔しさは君なんかにわかってたまるか」
ロッキー 「カッカ来るのはわかるけどよ、取り返せねえならぶっ壊しちまったらどうだい」
デスタン 「ぶっ壊す? ぶっ壊すだと? ダグラムを。き、君なんかにはわかるまいが、あのダグラムにはここにいるみんなの、いやデロイア人の血と汗が込められているんだ」
(ゲリラ一同、賛同のガヤ)
ロッキー 「熱くならねえで考えてみなよ。ダグラムをただ飾っておくとは思えねえぜ」
キャナリー 「分解して性能をチェックするわね」
バックス 「たしかにそうだ」
デスタン 「ば、爆破できるんならそれもいい。だが我々には連邦軍基地を襲う力などないぞ」
ロッキー 「ぐちゃぐちゃ言ってるが、とりあえず必要なのはやる気だけさ」
デスタン 「君は我々に戦う気力がないとでも言いたいのか。この戦力、この状況では連邦軍基地を襲ってダグラムを爆破出来る確率なぞない。私はそんな無謀なことをして同志を無駄死にさせるわけにはいかないんだ」
エディ 「おれも、このままボナールに行くべきだと思う」
ロッキー 「おたがいすきにするさ」
デスタン 「いいだろう。君はどうする」
キャナリー「あたしものこるわ」
デスタン 「勝手にしたまえ」
デスタン 「じゃあ我々はいくよ。バックス、後はよろしくたのむ。厄介をかけると思うが、面倒を見てやってくれ。さあ出発だ。ぐずぐずできんぞ」
ゲリラ一同 「おう」
デスタン 「銃はそれぞれ持つんだ」
ロッキー 「ふん、根性無しが」
バックス 「ロッキー、我々もぐずぐずできんぞ。さ」
ロッキー 「オッケイ」

クリン 「はっ」
娘 「気がついた」
クリン 「!」
開拓民父 「歩けるようならすぐに出てってくれ」
娘 「おとうさん」
開拓民父 「発電所で騒ぎがあったらしいが、かかわりたくない」
クリン 「助けてくれたんですね」
クリン 「ありがとうございました」
娘 「まって」
娘 「どこまでいくの」
クリン 「カーディナルです」
娘 「町ならあたしも行くわ。乗っけてってあげる」
子供 「ああ、お姉ちゃんどこ行くの」
開拓民父 「はやく食べろ」

サマリン(回想)(念のために聞くが、だれにもはなさなかったろうな)

娘 「あんたゲリラでしょ」
クリン 「え」
娘 「そうよ、地球人ばっかりいい思いをするなんて許せないわ」
クリン 「…」
クリン 「そうとも、絶対許しちゃいけないんだ」

ラコック 「分解すればXネブラ対応のノウハウも手に入れることができるはずです」
将校1(ネクタイ)「おっしゃるとおりです」
フォン 「部品をチェックすればデロイアのどこで量産するかもわかるな」
将校2(ネクタイ)「可能であります」
ラコック 「それではすぐはじめていただきたい。量産化は何としても防ぎたいのでね」
フォン 「できるだけいそいでくれよ」
将校1、2「はっ」
ラコック 「閣下。実物を直接ご覧になりますか」
ドナン 「サマリンという男も立ち会わせるのかね」
フォン 「そのつもりです。我々の手にあるコンバットアーマーを見れば観念して組織を割るかもしれません」
ドナン 「うむ」
ドナン 「会って話してみたい。そのサマリンという男に」

ダーク 「これがうわさのダグラムか。ソルティックと性能はどこが違うんだ」
ブルーム 「なんでもXネブラ対応型、つまりここでの環境で十分能力が発揮できるように設計されているそうです」
ダーク 「なるほど。どうも俺たちのソルティックは思うように動かんと思っていたが、その違いか」

娘 「ほんとにこんなところでいいの」
クリン 「うん。あ、どうもありがとう。お父さんにお礼いっといて」
娘 「あんた、これから何するのかわからないけど、命は大切にした方がいいよ」
クリン 「ロッキーまっててくれ、身の証は立ててみせるぞ」

千葉繁兵「よし行け、許可証を出せ」

ビリー 「ゲリラ」
チコ 「このやろ」
ロッキー 「しー」
フェスタ 「バ、バカ。大きな声出すな」
ナナシ 「ハハハ。おもしろそうだなっす」
ビリー 「おいらにもてつだわせてくれるよね」
キャナリー 「ちょっとあんたたちね、これはあそびじゃ」
ロッキー 「みんな、礼を言うぜ。しかしチコ、お前ら仕事の方はいいのか」
チコ 「へ、どうってことねえよ。どうせおそかれ早かれお払い箱になっちまうんだ。構うことねえって」
ビリー 「そ、オレっちなんざよ、これから人生どうしようかって悩んでたところよ」
チコ 「ぬかせ」
ビリー 「あれ」
ロッキー 「ようし決まった」
チコ、ビリー、フェスタ「いやっほう」
「あ」
「しー」
「ヘヘヘ」
ロッキー 「フフフ。ハハハハ。どうしたナナシ」
ナナシ 「お、おれ、おれは…だなっす」
ロッキー 「ふふふ、安心しろよ、みんな一緒だ。よろしくたのむぜ」
一同 「いやっほう」

クリン 「ダグラム」

キャナリー 「中の様子はどう?」
ロッキー 「しずかなもんよ。ビリーたちおそいな」
キャナリー 「なにかヘマでもしたんじゃない」
ロッキー 「そんなドジな奴らじゃないさ。今に爆薬を山のようにもってくるさ」
キャナリー 「誰か来るわ」
ロッキー 「お!?」
キャナリー 「あきれた。なによあの荷物」
ロッキー 「ここでクリスマスパーティでもしようってんだろ」
ビリー 「お、おーい」
ビリー 「ごめんごめんおそくなっちゃって」
ビリー 「はーまいったまいった」
チコ 「フー必要なものはだいたいそろったぜ」
ロッキー 「おいナナシ、なに入ってんだそん中」
ナナシ 「ダハハハハ」
ビリー 「なにがほしい」
ロッキー 「え?」
ビリー 「じゃーん」
ナナシ 「プラスチック爆薬4キロ」
ビリー 「じゃじゃーん」
ナナシ 「おまけ、てりゅう弾五個」
ビリー 「じゃじゃじゃじゃーん
ナナシ 「それに連邦軍制服6人分」
ロッキー 「こいつあいいや。きっと役に立つぜ」
キャナリー 「盗みに賭けちゃ天才ね」
ロッキー 「おいチコ」
チコ 「はいな」
ロッキー 「あんまり頭を出すなよ。そうでなくても目立つんだからな」
チコ 「やっぱ目立つかね。ところでその、ダグラムっていうお荷物はどこにあるんだい」
ロッキー 「まだわからん。この中にあることはたしかだ。おそらくその格納庫には見張りがわんさかいるからすぐわかるだろうよ」
チコ 「ああ、ちげえねえ」
フェスタ 「あーちっくしょう」
ビリー 「どうしたのフェスタ」
フェスタ 「虫がいやがるんだよここ。うっ」
ナナシ 「ダハハハ」
フェスタ 「おまえへんなとこにきがつくやつだな」
ナナシ 「悪い虫がつかないようにシューッ。大事なところにもシューッ。だはー効いたなっす。使う?」
キャナリー 「しるか」
一同 「笑」

クリン 「きっとチャンスはあるはずだ」

クリン 「と、父さん」

クリン 「博士」

(アイキャッチ)

ドナン 「フォンシュタイン君手錠は失礼だ」
フォン 「はっ」
ドナン 「ゲリラのシンボル的存在のあなたと一度会ってお話をしたかった」
サマリン 「さぞ満足でしょうな」
ドナン 「地球とデロイア、つまり一つの物をなぜあなたは二つに分けようとなさるのです」
サマリン 「同じ条件に立ってないから、としか申しようがありませんな」
ドナン 「同じ条件」
サマリン 「地球のやり方はいつも同じだ。手錠を外してもらっても囚われの身には変わりはない。こうして話し合っているときでもまるで立場が違う」
ドナン 「おなじ人間同士が血を流しあう。なんと愚かなことだとは思いませんか。歴史学者でもあるあなたならお分かりになるはずだ」
サマリン 「あなたは過去から学ぶのが歴史だと思っていなさる。それも大事だ。だが私の歴史は未来です」
ドナン 「未来」
サマリン 「想像です。過去に人間が望みながら果しえなかったものを作るのです」
ドナン 「連邦を二つに分けることがですか」
サマリン 「同じ立場に立てるようにすることです。そのためには血を流しても戦います。人間を尊重なさるならまずそれを尊重していただきたいですな」
サマリン 「まやかしの民主主義など欲しくはない。我々にとって必要なのは平等への真の開放です」
ドナン 「フフフフフフ、不幸な結果になっても、ですか」
サマリン 「それは民衆が決めればいいことです」
ドナン 「一度あなたのお書きになったという歴史書をじっくり読ませていただきます。そのうえでまたゆっくり話し合いましょう」
サマリン 「その時はうまいものを並べたテーブルを囲んで良きぶどう酒を飲みながらにしたいですな。ハハハハハハハハハ。ああそう、息子さんのクリン君のことですが、彼はあなたとは違った生き方をするでしょうな。あなたが歴史の過去を代表しているように、彼は未来を代表している」

クリン 「そうなんだ、父さんたちとは対等じゃないんだ」

技師1 「ひゃあ、こいつはたまげた。おいみろ、M1(えむわん)システムが完全にクリアーされてるぞ」
技師2 「ほんとだ」
技師1 「たいしたもんだこりゃあ」
技師1か2「!」
技師1か2「なにすんだ」
技師1か2「だれだ。ここを開けろ。開けろ」
技師3(千葉繁)「どうした。なにがあったんだ」
クリン 「だします、どいてください」
技師3 「うごきだすぞ!」

技師1か2「おあーっと」
兵士 「ああ」
兵士 「逃げろ!」
兵士 「もしもし、もしもし。うわあ」

ラコック 「はい、私だ。なに。ほんとうか」
フォン 「どうした」
ラコック 「よし、わかった。おつたえする」

キャナリー 「ん?ロッキー」
ロッキー 「どうした」
キャナリー 「なにかおこったらしいわ」

インステッド乗員(千葉兵)「こちら地上機甲部隊。現場に到達するも、内部の状況不明」
指揮ヘリ 「いいかよくきけ。多少の破損は構わん。やつをぜったいに基地の外には出すな。いいか、ぜったいにだ」
インステッド乗員「了解」
インステッド乗員「標的が動き出しました」
インステッド乗員「撃てえ」
※インステッド、停止射撃。(ミサイルポッド未装備)
インステッド乗員「うちかたやめい」
指揮ヘリ 「どうだ、仕留めたか」
インステッド乗員「地上機甲部隊より指揮ヘリへ。どうやら沈黙したようです」
インステッド乗員「うわっ。奴はまだ生きてます」

※ダグラムが投げた格納庫の扉につぶされてインステッド1機が破壊される

ロッキー 「ダグラムだ」
キャナリー 「ダグラム」
チコ 「あれがダグラムか」
フェスタ 「なんか様子がおかしいぜ」
ロッキー 「! まさか」
キャナリー 「え?」
ビリー 「チャンスじゃん。つっこんで爆破しちまおうぜ」
ロッキー 「よし、とにかく中に入ろう」

※インステッド2機、横から出てきたトラックにぶつかる。トラックもろとも誘爆

クリン 「このダグラムはデロイアの物だ。絶対に渡さないぞ」

ナナシ 「ダハハーハハハハ」
インステッド車長「おい、そこの!きさま、なんだその箱は」
ナナシ 「爆弾だなっす」
インステッド車長「どこへ持っていく。はこんでやる」
キャナリー 「やばいよ」
ナナシ 「これからダグラムをぶっ壊しに行くんだなっす」
インステッド車長「ようしいい度胸だ」
ナナシ 「おっす」
インステッド車長「だが、軍靴ぐらいははいとけよ。急げ」
ロッキー 「かけあーし」
チコ 「ほれ」
ナナシ 「はいはい」
ロッキー 「ふーったく、大した役者だよ。ええ、ナナシ」
ナナシ 「え?ダハハ。おっ」
ロッキー 「ダグラム」

クリン 「約束したんだ、きっとダグラムを返すって。ん?」

クリン 「ソルティック」

ロッキー 「クリン」
ロッキー 「そうだきっとクリンのやつだ」
キャナリー 「まさかあいつが」
ビリー 「でもなんでそんなことを」
チコ 「おれたちにかえすつもりよ」
ビリー 「えっ」
ロッキー 「フフフばかやろう。このままじゃ逃げ切れないぜ。よーし爆破は中止だ。チコ、ビリー。大型トレーラーを調達してくるんだ。あのお荷物を運べそうなやつをな」
ビリー&チコ「え?」
チコ 「わかった。まかしとけ。ほい、来い」
ビリー 「なんのことだよ」
ロッキー 「頼むぜ。へへ、面白くなってきやがったぜ。クリン、待ってろよ」

クリン 「来た!」

※ソルティック3機。左の機体をリニアガンで攻撃。脚部破壊。
※つづいて真ん中の機体の脚を破壊。
※2機とも転倒して爆発

クリン 「おお!」

チコ 「やるか」
ビリー 「うん」
チコ「?るなよ(聞き取り不明)」
ビリー 「おじさん。ちょっとのっけて」
連邦兵 「だめだ」
チコ 「ならおまえがおりろ」
チコ 「はやく乗れ」
ロッキー 「ナナシ、その箱はもう捨てろ」
ナナシ 「やだっす」
ロッキー 「強情だな」

※格納庫の壁越しにリニアガン発射、壁を貫通して残ったソルティックに命中、爆発

ロッキー 「おーい乗れ!乗るんだ」
クリン 「ロッキー」

指揮ヘリ 「ヤツを基地の外に出すわけにはいかん。必ず基地内でとらえろ。足を止めるんだ。トレーラーを破壊しろ」

ロッキー 「クリン、だいじょうぶか」
クリン 「いまのところはね」
ロッキー 「また来たぞ」

クリン 「ええい」
※チェーンガンでデューイ1機撃破
クリン 「やったー」
チコ 「おおい冗談じゃねえよ通れなくなるぜ。おいおいおいみんな伏せろ」
チコ 「つっきるぞ」
ナナシ 「だなっす」

※基地大爆発。プラスティック爆弾の爆発か?被害は不明

ドナン 「ばかなやつだ」

デイジー 「クリン、いったいあなたはデロイアで何をしてるの。クリン」

指揮ヘリ 「逃走中のゲリラのトレーラー発見。運転を誤り燃料備蓄エリアに激突。炎上したものと思われます。これより現場に急行、確認します」
ロッキー 「おーお、派手に燃えてるぜ」
バックス 「まったく無茶な奴らだよお前たちは。急に船を用意しろって言われた時は少々あわてたぜ」
ロッキー 「でもよ、こうしてダグラムは手に入ったことだし…クリン」
クリン 「ロッキー、ぼくは」
ロッキー 「もういい。なにもいうな」

次回予告

それは許されぬコクピットなのか。それも運命(さだめ)か。 鉄の戦士との出会いが、若者を大きな河の流れへと投げ込む。 新たな武器を手に、若き戦士達は身構える。 追う者と追われる者、新たなドラマが始まる。
次回「ガルシア隊参戦」
Not even justice, I want to get truth.
真実は見えるか。