第9話 「ダグラム奪回」

バックス 「見ろ、連邦軍の新手だ」
ロッキー 「ずいぶんと来やがったな」
バックス 「洗いざらい持っていく気だぞ」
ロッキー、キャナリー、バックス「!」
デスタン 「まて、私だ。デスタンだ」
ロッキー 「なんだいあんたか。もうすこしで体に風穴を開けちまうところだったぜ」
デスタン 「冗談じゃない気をつけてくれたまえ」
ロッキー 「気をつけるのはあんたの方だろ。こんなときに合図もなしに後ろに回るやつは撃たれたって文句は言えないぜ」
デスタン 「暴言だぞ君」
ロッキー 「フン」
デスタン 「き、君、今の言葉を取り消したまえ」
ロッキー 「がなりなさんな。それよりそんなに突っ立ってちゃあ下から丸見えだぜ」
デスタン 「はっ」
ロッキー 「ふふふふはははは、ま、味方同士いがみ合いはよそうや」
バックス 「デスタン、これからどうする」
デスタン 「わたしはみんなを連れてボナールへ行く。あそこは独立派の力が強い。我々の組織に何かあったらボナールへ行けというのが、かねてからのサマリン博士の指示だ」

サブタイトル「ダグラム奪回」

デスタン 「すぐボナールへ向けて出発するぞ」
ゲリラ一同 「おお!」
デスタン 「バックス、あんたはどうする」
バックス 「わたしはカーディナルにのこる。新しいアジトも作らんといかんし、サマリン博士の生死も確かめたいのでな」
ロッキー 「肝心なことを忘れてんじゃねえのか。奴らに取られちまったコンバットアーマーのほうは一体どうするつもりだ。放っとく手はねえだろうが」
デスタン 「ダグラムは我々の独立への熱い思いの結晶だ。君に言われんでも頭から離れたことはない。だがこれだけの武器、これだけの人員で何ができるって言うんだ。この悔しさは君なんかにわかってたまるか」
ロッキー 「カッカ来るのはわかるけどよ、取り返せねえならぶっ壊しちまったらどうだい」
デスタン 「ぶっ壊す? ぶっ壊すだと? ダグラムを。き、君なんかにはわかるまいが、あのダグラムにはここにいるみんなの、いやデロイア人の血と汗が込められているんだ」
(ゲリラ一同、賛同のガヤ)
ロッキー 「熱くならねえで考えてみなよ。ダグラムをただ飾っておくとは思えねえぜ」
キャナリー 「分解して性能をチェックするわね」
バックス 「たしかにそうだ」
デスタン 「ば、爆破できるんならそれもいい。だが我々には連邦軍基地を襲う力などないぞ」
ロッキー 「ぐちゃぐちゃ言ってるが、とりあえず必要なのはやる気だけさ」
デスタン 「君は我々に戦う気力がないとでも言いたいのか。この戦力、この状況では連邦軍基地を襲ってダグラムを爆破出来る確率なぞない。私はそんな無謀なことをして同志を無駄死にさせるわけにはいかないんだ」
エディ 「おれも、このままボナールに行くべきだと思う」
ロッキー 「おたがいすきにするさ」
デスタン 「いいだろう。君はどうする」
キャナリー「あたしものこるわ」
デスタン 「勝手にしたまえ」
デスタン 「じゃあ我々はいくよ。バックス、後はよろしくたのむ。厄介をかけると思うが、面倒を見てやってくれ。さあ出発だ。ぐずぐずできんぞ」
ゲリラ一同 「おう」
デスタン 「銃はそれぞれ持つんだ」
ロッキー 「ふん、根性無しが」
バックス 「ロッキー、我々もぐずぐずできんぞ。さ」
ロッキー 「オッケイ」

クリン 「はっ」
娘 「気がついた」
クリン 「!」
開拓民父 「歩けるようならすぐに出てってくれ」
娘 「おとうさん」
開拓民父 「発電所で騒ぎがあったらしいが、かかわりたくない」
クリン 「助けてくれたんですね」
クリン 「ありがとうございました」
娘 「まって」
娘 「どこまでいくの」
クリン 「カーディナルです」
娘 「町ならあたしも行くわ。乗っけてってあげる」
子供 「ああ、お姉ちゃんどこ行くの」
開拓民父 「はやく食べろ」

サマリン(回想)(念のために聞くが、だれにもはなさなかったろうな)

娘 「あんたゲリラでしょ」
クリン 「え」
娘 「そうよ、地球人ばっかりいい思いをするなんて許せないわ」
クリン 「…」
クリン 「そうとも、絶対許しちゃいけないんだ」

ラコック 「分解すればXネブラ対応のノウハウも手に入れることができるはずです」
将校1(ネクタイ)「おっしゃるとおりです」
フォン 「部品をチェックすればデロイアのどこで量産するかもわかるな」
将校2(ネクタイ)「可能であります」
ラコック 「それではすぐはじめていただきたい。量産化は何としても防ぎたいのでね」
フォン 「できるだけいそいでくれよ」
将校1、2「はっ」
ラコック 「閣下。実物を直接ご覧になりますか」
ドナン 「サマリンという男も立ち会わせるのかね」
フォン 「そのつもりです。我々の手にあるコンバットアーマーを見れば観念して組織を割るかもしれません」
ドナン 「うむ」
ドナン 「会って話してみたい。そのサマリンという男に」

ダーク 「これがうわさのダグラムか。ソルティックと性能はどこが違うんだ」
ブルーム 「なんでもXネブラ対応型、つまりここでの環境で十分能力が発揮できるように設計されているそうです」
ダーク 「なるほど。どうも俺たちのソルティックは思うように動かんと思っていたが、その違いか」

娘 「ほんとにこんなところでいいの」
クリン 「うん。あ、どうもありがとう。お父さんにお礼いっといて」
娘 「あんた、これから何するのかわからないけど、命は大切にした方がいいよ」
クリン 「ロッキーまっててくれ、身の証は立ててみせるぞ」

千葉繁兵「よし行け、許可証を出せ」

ビリー 「ゲリラ」
チコ 「このやろ」
ロッキー 「しー」
フェスタ 「バ、バカ。大きな声出すな」
ナナシ 「ハハハ。おもしろそうだなっす」
ビリー 「おいらにもてつだわせてくれるよね」
キャナリー 「ちょっとあんたたちね、これはあそびじゃ」
ロッキー 「みんな、礼を言うぜ。しかしチコ、お前ら仕事の方はいいのか」
チコ 「へ、どうってことねえよ。どうせおそかれ早かれお払い箱になっちまうんだ。構うことねえって」
ビリー 「そ、オレっちなんざよ、これから人生どうしようかって悩んでたところよ」
チコ 「ぬかせ」
ビリー 「あれ」
ロッキー 「ようし決まった」
チコ、ビリー、フェスタ「いやっほう」
「あ」
「しー」
「ヘヘヘ」
ロッキー 「フフフ。ハハハハ。どうしたナナシ」
ナナシ 「お、おれ、おれは…だなっす」
ロッキー 「ふふふ、安心しろよ、みんな一緒だ。よろしくたのむぜ」
一同 「いやっほう」

クリン 「ダグラム」

キャナリー 「中の様子はどう?」
ロッキー 「しずかなもんよ。ビリーたちおそいな」
キャナリー 「なにかヘマでもしたんじゃない」
ロッキー 「そんなドジな奴らじゃないさ。今に爆薬を山のようにもってくるさ」
キャナリー 「誰か来るわ」
ロッキー 「お!?」
キャナリー 「あきれた。なによあの荷物」
ロッキー 「ここでクリスマスパーティでもしようってんだろ」
ビリー 「お、おーい」
ビリー 「ごめんごめんおそくなっちゃって」
ビリー 「はーまいったまいった」
チコ 「フー必要なものはだいたいそろったぜ」
ロッキー 「おいナナシ、なに入ってんだそん中」
ナナシ 「ダハハハハ」
ビリー 「なにがほしい」
ロッキー 「え?」
ビリー 「じゃーん」
ナナシ 「プラスチック爆薬4キロ」
ビリー 「じゃじゃーん」
ナナシ 「おまけ、てりゅう弾五個」
ビリー 「じゃじゃじゃじゃーん
ナナシ 「それに連邦軍制服6人分」
ロッキー 「こいつあいいや。きっと役に立つぜ」
キャナリー 「盗みに賭けちゃ天才ね」
ロッキー 「おいチコ」
チコ 「はいな」
ロッキー 「あんまり頭を出すなよ。そうでなくても目立つんだからな」
チコ 「やっぱ目立つかね。ところでその、ダグラムっていうお荷物はどこにあるんだい」
ロッキー 「まだわからん。この中にあることはたしかだ。おそらくその格納庫には見張りがわんさかいるからすぐわかるだろうよ」
チコ 「ああ、ちげえねえ」
フェスタ 「あーちっくしょう」
ビリー 「どうしたのフェスタ」
フェスタ 「虫がいやがるんだよここ。うっ」
ナナシ 「ダハハハ」
フェスタ 「おまえへんなとこにきがつくやつだな」
ナナシ 「悪い虫がつかないようにシューッ。大事なところにもシューッ。だはー効いたなっす。使う?」
キャナリー 「しるか」
一同 「笑」

クリン 「きっとチャンスはあるはずだ」

クリン 「と、父さん」

クリン 「博士」

(アイキャッチ)

ドナン 「フォンシュタイン君手錠は失礼だ」
フォン 「はっ」
ドナン 「ゲリラのシンボル的存在のあなたと一度会ってお話をしたかった」
サマリン 「さぞ満足でしょうな」
ドナン 「地球とデロイア、つまり一つの物をなぜあなたは二つに分けようとなさるのです」
サマリン 「同じ条件に立ってないから、としか申しようがありませんな」
ドナン 「同じ条件」
サマリン 「地球のやり方はいつも同じだ。手錠を外してもらっても囚われの身には変わりはない。こうして話し合っているときでもまるで立場が違う」
ドナン 「おなじ人間同士が血を流しあう。なんと愚かなことだとは思いませんか。歴史学者でもあるあなたならお分かりになるはずだ」
サマリン 「あなたは過去から学ぶのが歴史だと思っていなさる。それも大事だ。だが私の歴史は未来です」
ドナン 「未来」
サマリン 「想像です。過去に人間が望みながら果しえなかったものを作るのです」
ドナン 「連邦を二つに分けることがですか」
サマリン 「同じ立場に立てるようにすることです。そのためには血を流しても戦います。人間を尊重なさるならまずそれを尊重していただきたいですな」
サマリン 「まやかしの民主主義など欲しくはない。我々にとって必要なのは平等への真の開放です」
ドナン 「フフフフフフ、不幸な結果になっても、ですか」
サマリン 「それは民衆が決めればいいことです」
ドナン 「一度あなたのお書きになったという歴史書をじっくり読ませていただきます。そのうえでまたゆっくり話し合いましょう」
サマリン 「その時はうまいものを並べたテーブルを囲んで良きぶどう酒を飲みながらにしたいですな。ハハハハハハハハハ。ああそう、息子さんのクリン君のことですが、彼はあなたとは違った生き方をするでしょうな。あなたが歴史の過去を代表しているように、彼は未来を代表している」

クリン 「そうなんだ、父さんたちとは対等じゃないんだ」

技師1 「ひゃあ、こいつはたまげた。おいみろ、M1(えむわん)システムが完全にクリアーされてるぞ」
技師2 「ほんとだ」
技師1 「たいしたもんだこりゃあ」
技師1か2「!」
技師1か2「なにすんだ」
技師1か2「だれだ。ここを開けろ。開けろ」
技師3(千葉繁)「どうした。なにがあったんだ」
クリン 「だします、どいてください」
技師3 「うごきだすぞ!」

技師1か2「おあーっと」
兵士 「ああ」
兵士 「逃げろ!」
兵士 「もしもし、もしもし。うわあ」

ラコック 「はい、私だ。なに。ほんとうか」
フォン 「どうした」
ラコック 「よし、わかった。おつたえする」

キャナリー 「ん?ロッキー」
ロッキー 「どうした」
キャナリー 「なにかおこったらしいわ」

インステッド乗員(千葉兵)「こちら地上機甲部隊。現場に到達するも、内部の状況不明」
指揮ヘリ 「いいかよくきけ。多少の破損は構わん。やつをぜったいに基地の外には出すな。いいか、ぜったいにだ」
インステッド乗員「了解」
インステッド乗員「標的が動き出しました」
インステッド乗員「撃てえ」
※インステッド、停止射撃。(ミサイルポッド未装備)
インステッド乗員「うちかたやめい」
指揮ヘリ 「どうだ、仕留めたか」
インステッド乗員「地上機甲部隊より指揮ヘリへ。どうやら沈黙したようです」
インステッド乗員「うわっ。奴はまだ生きてます」

※ダグラムが投げた格納庫の扉につぶされてインステッド1機が破壊される

ロッキー 「ダグラムだ」
キャナリー 「ダグラム」
チコ 「あれがダグラムか」
フェスタ 「なんか様子がおかしいぜ」
ロッキー 「! まさか」
キャナリー 「え?」
ビリー 「チャンスじゃん。つっこんで爆破しちまおうぜ」
ロッキー 「よし、とにかく中に入ろう」

※インステッド2機、横から出てきたトラックにぶつかる。トラックもろとも誘爆

クリン 「このダグラムはデロイアの物だ。絶対に渡さないぞ」

ナナシ 「ダハハーハハハハ」
インステッド車長「おい、そこの!きさま、なんだその箱は」
ナナシ 「爆弾だなっす」
インステッド車長「どこへ持っていく。はこんでやる」
キャナリー 「やばいよ」
ナナシ 「これからダグラムをぶっ壊しに行くんだなっす」
インステッド車長「ようしいい度胸だ」
ナナシ 「おっす」
インステッド車長「だが、軍靴ぐらいははいとけよ。急げ」
ロッキー 「かけあーし」
チコ 「ほれ」
ナナシ 「はいはい」
ロッキー 「ふーったく、大した役者だよ。ええ、ナナシ」
ナナシ 「え?ダハハ。おっ」
ロッキー 「ダグラム」

クリン 「約束したんだ、きっとダグラムを返すって。ん?」

クリン 「ソルティック」

ロッキー 「クリン」
ロッキー 「そうだきっとクリンのやつだ」
キャナリー 「まさかあいつが」
ビリー 「でもなんでそんなことを」
チコ 「おれたちにかえすつもりよ」
ビリー 「えっ」
ロッキー 「フフフばかやろう。このままじゃ逃げ切れないぜ。よーし爆破は中止だ。チコ、ビリー。大型トレーラーを調達してくるんだ。あのお荷物を運べそうなやつをな」
ビリー&チコ「え?」
チコ 「わかった。まかしとけ。ほい、来い」
ビリー 「なんのことだよ」
ロッキー 「頼むぜ。へへ、面白くなってきやがったぜ。クリン、待ってろよ」

クリン 「来た!」

※ソルティック3機。左の機体をリニアガンで攻撃。脚部破壊。
※つづいて真ん中の機体の脚を破壊。
※2機とも転倒して爆発

クリン 「おお!」

チコ 「やるか」
ビリー 「うん」
チコ「?るなよ(聞き取り不明)」
ビリー 「おじさん。ちょっとのっけて」
連邦兵 「だめだ」
チコ 「ならおまえがおりろ」
チコ 「はやく乗れ」
ロッキー 「ナナシ、その箱はもう捨てろ」
ナナシ 「やだっす」
ロッキー 「強情だな」

※格納庫の壁越しにリニアガン発射、壁を貫通して残ったソルティックに命中、爆発

ロッキー 「おーい乗れ!乗るんだ」
クリン 「ロッキー」

指揮ヘリ 「ヤツを基地の外に出すわけにはいかん。必ず基地内でとらえろ。足を止めるんだ。トレーラーを破壊しろ」

ロッキー 「クリン、だいじょうぶか」
クリン 「いまのところはね」
ロッキー 「また来たぞ」

クリン 「ええい」
※チェーンガンでデューイ1機撃破
クリン 「やったー」
チコ 「おおい冗談じゃねえよ通れなくなるぜ。おいおいおいみんな伏せろ」
チコ 「つっきるぞ」
ナナシ 「だなっす」

※基地大爆発。プラスティック爆弾の爆発か?被害は不明

ドナン 「ばかなやつだ」

デイジー 「クリン、いったいあなたはデロイアで何をしてるの。クリン」

指揮ヘリ 「逃走中のゲリラのトレーラー発見。運転を誤り燃料備蓄エリアに激突。炎上したものと思われます。これより現場に急行、確認します」
ロッキー 「おーお、派手に燃えてるぜ」
バックス 「まったく無茶な奴らだよお前たちは。急に船を用意しろって言われた時は少々あわてたぜ」
ロッキー 「でもよ、こうしてダグラムは手に入ったことだし…クリン」
クリン 「ロッキー、ぼくは」
ロッキー 「もういい。なにもいうな」

次回予告

それは許されぬコクピットなのか。それも運命(さだめ)か。 鉄の戦士との出会いが、若者を大きな河の流れへと投げ込む。 新たな武器を手に、若き戦士達は身構える。 追う者と追われる者、新たなドラマが始まる。
次回「ガルシア隊参戦」
Not even justice, I want to get truth.
真実は見えるか。

第8話 裏切りのデロイア

(Na.)デロイア州誕生、自治権確立とデロイアの動乱は理想的に収束したかにみえたが、その実、根本的な解決を避けた政治的取引により、多くの抵抗ゲリラを生んだ

フォン(TV)「ゆえに、彼らの行動は地球連邦を構成する州として昇格したデロイアの自治と平和を脅かすものとして、絶対に許すことはできない
クリン「部屋の中でちぢこまっているのが、ぼくには一番似合ってるんだ
クリン「はっ
ラルターフ「入るぞ
ラルターフ「さあ支度してわしと付き合え
クリン「どこへ?
ラルターフ「きまっとるだろ。ゲリラが立てこもってやりあってるところさ
クリン「ええっ
ラルターフ「なあクリン君。きみはもっと現実を直視しないとならん。でなければ君の甘さは死ぬまで治らんだろうな
クリン「…

裏切りのデロイア

フォン「わが州政府と、デロイア人民に対する重大な挑戦と受け止める。全デロイア人の理解と協力を求めるものである
ロッキー「ふん。なにが重大な挑戦だ。ドナンカシムの犬が」
ロッキー「「くだらねえ。なにがデロイアの独立だ。結局、てめえが州政府の親玉におさまっただけじゃねえか」

マルーク「ロッキー、そこの帳簿とってくれ」
ロッキー「え?
マルーク「ロッキー

ロッキー「これでいいのかい
ロッキー「ほらよ
ロッキー「相も変わらずだな。大した銭にもならねえのに。腹立たねえのかい
ロッキー「ね、ねえさん
変わらねえのはお前もおんなじだろ。なんのために地球から帰ってきたんだ
ロッキー「ちっとはデロイアも変わるかと思ってさ
オリザ「…
ロッキー「フォンシュタインのやつにだまされちまったもんな
オリザ「めったなこといわないでよ。まわりにはゲリラ狩りの憲兵隊がうろうろしてるんだから
オリザ「市内じゃ体制に不服な兵隊が立てこもって戦闘中だっていうしね
ロッキー「下手に独立だなんていった大佐が悪いんだよ
マルーク「ロッキー。俺たちはこれからも分相応にコツコツやるしかねえんだ。儲けが薄くてもな。おまえ、ここを手伝う気があるのか
ロッキー「さあな
マルーク「めったなまねはするなよ
ロッキー「みんなに顔見せさ。地球から帰ったこの顔を見せにな。じゃな
マルーク「ロッキー
ロッキー「おっ

ロッキー「キャナリー

ロッキー「キャナリー!
キャナリー「ロッキー
ロッキー「キャナリー

サングラスの隊長「ディオル軍曹。ほかの兵も抵抗をやめて我々に投降しろ。お前らに勝ち目はない。デロイアの平和を脅かそうとしているお前らの行動は、デロイア州政府に対する反乱だ。武器を捨てて投稿しろ
ディオル「オレはディオルだ。俺たちを攻撃する兄弟たち、銃を納めろ。お前らが狙うのは俺たちじゃない。フォンシュタインだ。デロイア州に変わったからと言って、150年にわたるデロイア人の苦しみが消えるか。やつは俺たちに独立を約束したのに、州政府代表の地位に目がくらんで、俺たちを裏切ったのだ

兵士「おっ
兵士「おお

ディオル「俺たちは騙されない。俺たちはデロイアのための戦いをやめないぞ

ジープの兵士「道を開けろ

検問の兵士「とまれ
検問の兵士「立ち入り禁止だ
検問の兵士「とまれ
検問の兵士「うわっ
検問の兵士「くそっ

サングラスの隊長「なんだ
兵士「デオルの妹です
サングラスの隊長「ほう。デオル軍曹。妹が来たぞ。これが最後のチャンスだ
サングラスの隊長「兄を助けたかったら投降するよう説得しろ
ロッキー「デオル
ロッキー「デオルが反乱
ディオル「キャナリー、おれは登校しない。おれたちはデロイアがほんとうに独立すると思ったんだ。俺たちは裏切られた
ディオル「キャナリー、おれの言葉を聞け。フォンシュタインは裏切り者だ。デロイアを州昇格という名のもとに、地球人に、ドナンカシムに売り渡したんだ

サングラスの隊長「どうした早くせんか
サングラスの隊長「きさま、きいておらんのか。兄の命を助けたくはないのか
キャナリー「兄さん負けちゃダメよ、デロイアはデロイア人の物
サングラスの隊長「きさま、なにをいうか。たくこの小娘が
サングラスの隊長「「撃てい

ラルターフ「無駄だ、無駄な戦いだ。フォンシュタインにゲリラ狩りの口実を与えるだけだ

(デューイの機銃掃射からミサイル発射。すでに砲塔が吹き飛んだクラブガンナーは爆発)

キャナリー「兄さん
キャナリー「兄さーん

フォン「そうか、ご苦労

兵士「デオル並びにほかの乗員の遺体をただ今検証中でありますが、損傷がひどくて
サングラスの隊長「無駄だ。おそらくとけちまってるだろう。全員引きあげるとつたえろ
兵士「はっ
通信兵「補給隊か。(聞き取れず)追討隊だ。車両に若干の損傷が出てる。1小隊ほど回してくれ
オペレーターの女性「了解。損傷した車両の形式がわかれば知らせよ

ラルターフ「クリン引き上げるぞ

キャナリー「…」

ロッキー(回想)「やーいやーい
キャナリー(回想)「やんかえして。かえして
ロッキー(回想)「やだね、べーだ
ディオル(回想)「なあロッキー、なんで弱い者いじめするんだよ。お前男だろ
ロッキー(回想)「ほらほら、(不明)、かっこつけるな。基本を身体に叩き込め。あーっ、あっ
ロッキー(回想)「ははははは
ディオル(回想)「ははははは
ディオル(回想)「ロッキー、地球へ行くんだってな
ロッキー(回想)「うん
ディオル(回想)「地球に行っても、このデロイアの海と空を忘れないでくれよ
ロッキー(回想)「ああ

キャナリー「あの日ね、フォンシュタインのところに自分から志願していったの。これでデロイアが独立できるといって
ロッキー「はっ
ロッキー「ドナン・カシムの息子だ
クリン「すまない、ロッキー
ロッキー「いうな
クリン「ロッキー
ロッキー「地球の豚野郎

アイキャッチ

ドナン「草案の二条を削除するか。州政府の権限はできるだけ抑えた方がいいな
ラコック「閣下のお好きなように。手腕のほどは信頼申し上げております
ドナン「皮肉かね
ドナン「ん?
レーク「お呼びですか
ドナン「ああ、キミの意見も聞こうと思ってな
レーク「これはデロイア州の自治法
ドナン「ああ、我々が作ってはいかんということはないからな。もっとも発布するのはフォンシュタインだがね。キミにはいずれ連邦軍のトップに座ってもらうつもりでいる。その立場で自治法をチェックしてもらいたい
クリン「父さんにあうんだ!どいてください
警備員「まってください
クリン「おねがいだ
クリン「お願いします
警備員「困りますお待ちください
ドナン「クリン
クリン「父さん
ラコック「クリンさん
クリン「いつまでこんな真似をさせるんです。大佐に馬鹿な真似はやめるように申し入れてください
ドナン「クリン、どうしたのだ。顔の傷
クリン「ごまかさないでください
ドナン「クリン私はいま執務中なのだ。本来なら追い返して当然だが5分間だけお前につきあってやる

ドナン「地球へはいつ戻るつもりだ
ドナン「クリン、お前と議論をしてもはじまんが、政治というものは最大多数の反映を実現するために行うものとわしは信じている
クリン「だからゲリラ狩りや反対する連中をたたいてもいいというのですか
ドナン「やむをえんだろうな
クリン「父さん
ドナン「やむを得んといったのは、いつの時代にも一つの政治に対する不満分子は必ず存在する。時の政府と抗争を繰り返してきたという歴史だ。
クリン「しかし、歴史がそうだからといって、繰り返さなければならない理由はないはずです
ドナン「おまえは歴史というものを理解していないな。ではどうすればいいと思うのだ
クリン「かれらが言っているように独立を認めてやるのです
ドナン「なぜ。デロイア人も地球人も同じ仲間だ。同じ地球人だ。さらにつけくわえれば、今デロイアは連邦を構成する州として自治も認められた。なのになぜ独立しなければならんのだ
クリン「つまり…それを願っている者たちがいるからです
ドナン「なぜ願うのだ
ドナン「かれらが全てのデロイア人の意思を代表しているわけではなかろう
クリン「ではこれからも大佐に不満分子の摘発やゲリラ狩りをやらせる気ですか
ドナン「わしがやらせているのではない。州政府の代表として大佐がやっているのだ。時間だ
クリン「父さんは!父さん自身はどう思っているんです
ドナン「多数の者たちのためには少数の犠牲はやむを得ん
クリン「父さん、そう思っているかぎりこの戦いは終わらない。かれらは新型のコンバットアーマーまで用意して戦いに望む気でいるんです

クリン「ばかな…少数の犠牲はやむを得ないなんて
クリン「ちがう、なにかがちがっている
クリン「どこが…どこがちがうんだ

ラコック「お出になりますか。大佐が礼を言いたいそうです
ドナン「ん?

クリン「腹が減ってる。なにか食べるものないかな
バックス「いいとも。奥で食べな
クリン「ありがとう

サマリン「どうぞ
サマリン「おおクリン君。何の風の吹き回しだ

サマリン「うむ、君の親父さんはそう言ってたのか。いや、人間ってやつは元来意地汚くできてるものらしいな。こんなところに隠れていても一人前に腹だけは減る。食べんか
クリン「い、いえ、結構です
サマリン「わしが君の親父なら、やはり同じようなことを言っただろうな。何年ものだ。これは寝かし方がたらんようだ。元来政治とはそういうものだ。つまり、だれがたらふく食べられるかということにつきている。フォンシュタインややつらのやりくちと、デロイア独立を目指す我々のやり方とではどちらがデロイア人に多くの利益をもたらすかということだ
クリン「でもデロイア人も地球人も同じ仲間では
サマリン「それは詭弁だ。同じブドウから作ってもワインの味がちがうようにな。われわれは地球にサービスしすぎた
サマリン「ああだがデロイアが独立して、ふーデロイアの政府ができたとして、ああ全てのデロイア人が幸せになれるかというとこれまた違う。そこには必ずまた反対意見が出る
サマリン「人間は悲しいものだ。安住の地を求めながら、永遠にそれを手にすることができずにいる。ま、だからこそ人類は進歩するともいえるか。はは。わしがめざしているのは、そういうとき少数の意見であっても多数の中に十分反映できる社会を作るということだ。このコーヒーと砂糖のようにな。大いなる試練だがそうなってはじめて人類は政治を持ったといえるだろう。百人のために二人を切りすてずともすむということだ
サマリン「ん?
サマリン「なにダグラムが
サマリン「わかった。パイロットならここにいる。すぐつれてゆく
サマリン「ダグラムが完成したそうだ。君に試運転のパイロットを頼みたい
クリン「ぼくはドナン・カシムの息子で、連邦軍の
サマリン「かまわん。君はいずれ親とも連邦軍とも別れて、我々と行動を共にするようになる
クリン「どうしてそんなことが
サマリン「わしはな、自分の目を信じている。今の君は落ち着き場所を求めてさまよっている

サマリン「いやみんなご苦労だった。約束通りパイロットを連れてきた
背広の男「彼を?彼を乗せる気ですか
サマリン「いかんか?いずれ我々の仲間になるはずだ
クリン「はっ
サマリン「おっ
ゲリラ「連邦軍だ!

サマリン「ダグラムの設計図を処分しろ!
背広の男「処分?処分とは博士
サマリン「焼け!やつらの手にわたしてはならん

デスタン「決心は変わらないだろうな
キャナリー「変わらないわ。兄さんのかたきは必ず取ってやるつもり
ロッキー「おれもだ。デロイアから地球人を追い払うまで徹底的にやってやる
デスタン「よし、サマリン博士の許可をもらってやる。そうすればお前らはりっぱな仲間だ。

デスタン「おっ
キャナリー「あっ ?
デスタン「おお

ゲリラ「うわ
ゲリラ「うわーっ

サマリン「どうしてこのアジトがフォンシュタインに漏れたんだ。念のために聞くが、誰にも話したことはなかっただろうな
クリン「!

クリン(回想)(かれらは、新型コンバットアーマーまで用意して戦いに臨む気でいるんです)

クリン「ま、まさか父さんが。そ、そんな馬鹿な
サマリン「うわっ
サマリン「うお
クリン「博士

サマリン「く、来るな。逃げろ。逃げのびるんだ
クリン「博士
サマリン「早く

サマリン(回想)(約束通りパイロットを連れてきた。いずれ、我々の仲間になるはずだ)

クリン「ダグラムは

クリン「畜生

クリン「おあーっ

クリン「卑怯な。父さんに間違いない。自分たちのためには僕まで利用するのか
ロッキー「クリン
クリン「はっ
ロッキー「お前が密告したのか
クリン「ぼくは密告などしない
ロッキー「サマリン博士はどうした
クリン「撃たれて、連邦軍に
ロッキー「くそー、博士まで売ってしまったのか
クリン「ちがう、ぼくじゃない
ロッキー「ゆるさねえ!デオルを殺し博士を殺し、ダグラムまで奪いやがった。なにも脳がねえくせに一人前に密告だけはしやがる。死ね
クリン「ロッキー待ってくれ、ぼくは身の証を立てて戻ってくる

次回予告

新鋭コンバットアーマー・ダグラムを巡り、植民の星に父と子の愛憎が渦巻く。 目には目を、歯には歯を。力こそが正義か。 次回「ダグラム奪回」
Not even justice, I want to get truth.
真実は見えるか。

第7話 ゲリラ狩り

(Na.)連邦評議員拉致事件に端を発したデロイアの動乱は、反乱軍の首謀者フォンシュタイン大佐と、連邦評議会議長ドナン・カシムとの和平合意が成立し、デロイア州誕生、自治権確立と理想的に終息したかに見えたが

ラルターフ「ん?

【ゲリラ狩り】

ラコック「10月6日未明連邦軍は、評議員救出別働隊と相呼応し、議事堂を占拠する反乱軍を鎮圧、ドナン・カシム議長をふくむ評議員の解放に成功しました。以上が経過です
記者「なぜここに事件の首謀者フォンシュタイン大佐が同席しているんですか
ドナン「事件は一部の地球要人たちのデロイアを制圧する口実づくりの陰謀であったことが、私と大佐の話し合いでわかったのです
ラコック「昨夜連邦軍の手で事件の張本人たちを逮捕、拘禁しました
記者「すると大佐の独立宣言はなんだったんですか
ラコック「察してあげてください、大佐の無念の気持ちを。大佐は地球とデロイアの平和を守るために、要人たちの謀略に乗ったふりをして、時を待っていたんです。
記者「なんだって?
記者「ほんとですか
ドナン「そうです。自治権の強化はありますが、地球もデロイアも一つの連邦ですから。独立ということは今後もありません
フォン「世情を操作し、デロイアと地球の離反を画策するものは、どしどしとりしまります
記者「ゲリラ狩りをするということですが

ラコック「その言い方は穏当ではありませんな。デロイアのみなさん。連邦評議会はデロイアを戦場にすることは望みません。
ラコック「一刻も早く平和を取り戻すことを願っているのです
ラコック「そのためにいくつかの方法を考え出しました
ラコック「まず第一に、取締りに協力してくださった方には、それ相当の報酬を約束します

レーク「失礼します。ラコックさん、この記事は少し行き過ぎじゃありませんか
ラコック「え?
ラコック「”協力者次々と現る”これがどうかしましたか
レーク「まだ協力者は出てないんですよ
ラコック「きっかけを作ってやったまでですよ。密告はやはり後ろめたい。その気持ちをとり除こうと。それにアジトが多く発見されれば、その中に開発中のコンバットアーマーとやらも見つかるかもしれませんしね
レーク「え?
ラコック「密告者が出れば出るほど、デロイアの意思統一は難しくなる。そうすれば独立などというたわごとは遠い物となります
レーク「…

ゲリラ「わああーーー

ゲリラ「うわあ
ゲリラ「このやろう、この
兵士「えい
ゲリラ「うおっ
兵士「あるけ。ほらいくんだ。はやくしろ

クリン(なぜこんなひどいことを。これじゃクーデターの報復をしているとしか思えないじゃないか、父さん)

クリン「!
クリン「レークにいさん
レーク「まってたよクリンくん。きみの階級をもとに戻させてもらったよ
クリン「えっ
レーク「地球に戻るには必要ないからね。君がデロイアに来た目的は一応達したんだ。あとは一刻も早く帰って母さんを安心させてやりなさい。わかったね
レーク「兄さん、その前に父さんに合わせてください
ラコック「閣下は事件の後始末に追われて非常にお忙しいんです。
クリン「ラコックさん
ラコック「あなたによろしくとおっしゃっていましたよ
クリン「えっ
ラコック「再会は地球でゆっくりなさったらいかがです?そのほうが感激も大きい
クリン「父さんに会って、聞きたいことがあるんです
ラコック「ん?なにをです
クリン「そ、それは… それはなにかわからない、だけど父さんと話せばそれがなんだかわかるような気がするんです
レーク「どうもなにをいっているのかよくわからないが
ラコック「そんなたわごとをいってると笑われますよ、クリンさん
レーク「それじゃなるべく早く帰る用意をするように
ラコック「お気をつけて

クリン「ぼ、ぼくはいったい何を

オーセル夫人「どうしたのデイジー。明かりもつけないで
オーセル夫人「クリンも無事なことがわかったんだし
オーセル夫人「もっと明るい顔なさいな
デイジー「無事なのはうれしんだけど
オーセル夫人「え?
デイジー「心配なの
オーセル夫人「わからないわ。なにをいってるんだか
デイジー「なかなか帰ってこないでしょクリン
デイジー「もうとっくに帰ってきてもいいと思うの
オーセル夫人「ふふ クリンだって子供じゃないのよ。珍しいデロイア星で観光気分でいるんじゃなくて
デイジー「クリンて昔から走り出すと止まらないところがあるの
オーセル夫人「デイジー、クリンのそんなところが好きって、よく話してたじゃない
デイジー「クリン、もう戻ってこないんじゃないかしら
デイジー「考えすぎならいいんだけど
オーセル夫人「まあ デイジー

みんな「いやっほー
みんな「いえーい

フェスタ「故障したジープが乗り捨ててあったなんてよ
ビリー「メカに関しちゃチコは最高だね
ロッキー「修理屋の息子万歳だぜ
チコ「フフフ

ロッキー「見ろ!カーディナルだ
チコ「かえってきたぜ
ナナシ「だなっし帰ってきた
フェスタ「俺たちの故郷に
ビリー「カーディナルに

ロッキー「!
ビリー「どうしたのロッキー
ロッキー「静かに。ついてこい
ロッキー「!

連邦兵「動くな!
ゲリラ「れ、連邦軍だ
ゲリラ「うっ

密告者「どうも

ロッキー「まてい
ロッキー「きさまデロイア人を売ったな
密告者「何言うんだ、おれは、おれはデロイアに早く平和を取り戻したいから協力してんだよ
ロッキー「なんだと
ロッキー「だからって、仲間を売っていいのか。同じ星の仲間をよ
密告者「し、しかたねんだよ。この金がありゃ一家五人飢えずにに済むんだ
ロッキー「!
密告者「すまねえ
?「ロッキー
ロッキー「なんてこった。かえってきてみりゃなんてこった。

将校「摘発した抵抗グループは9グループ、98名です。うち抵抗して射殺したもの38名、逮捕したものは60名にのぼっています
ラコック「わたくしの方の情報ではいくつかのグループに横のつながりがあり、カーディナル市内および郊外に潜伏しているようです。で、彼らの中心となっているのがサマリンという男で、この男がゲリラたちの信頼を集めるリーダーとして注目されています。
レーク「サマリン
将校「情報ではこのサマリンを中心にゲリラ統一を図ろうとする動きもあります
フォン「フフフフ、まあ山はここ数週間でしょう。サマリンの行方を徹底して負わせていますからな。逮捕は時間の問題でしょう

クリン「あ、ラ、ラコックさん
クリン「クリンです。すいませんが父さんを呼んでください

ラコック「困りますねクリンさん。今会議中ですよ閣下は
ラコック「地球に戻ってからでいいでしょう。別に命にかかわることでもないでしょうからね
クリン「ラコックさん、ほんの少しでいいんです。父さん、父さんに取り次いでください
ラコック「あなたはもう子供じゃないんですから、わからんことをいわないでくださいよ。閣下はお出にはなりません

クリン「もしもし、もしもし。ラコックさん

クリン「父さん

(アイキャッチ)

キャナリー「はいおまたせ
客1「キャナリー、こっちにもたのむぜ
客2「バカヤロー、こっちが先だ。キャナリー
キャナリー「なによキャナリーキャナリーって。気安くよばないでちょうだい

キャナリー「あ
客1「今度の休みにデートしようぜキャナリー
キャナリー「なによそんなお金もないくせに
客1「ゲリラのやつを軍隊に密告すりゃあちょいとした金にならあな
キャナリー「そんな汚いお金でだれがあんたなんかと
客1「じ、冗談だよ冗談。なキャナリー
キャナリー「あっ
客1「べつに取って食おうって言ってんじゃないぜキャナリー。ただいっぺんつきあってくれっていってるだけじゃねえか、おい
客3「ひひひひ、キャナリーちゃんあそんでやんなよ
キャナリー「フン
キャナリー「やめてよはなして
キャナリー「はなしてよ
客1「このう優しくしてりゃあつけあがりやがって
客1「!
客1「いてっ
客1「おっ
ロッキー「いじきたねえまねをするんじゃねえ
客4「ロッキー
客5「ロッキーだ
客6「ロッキー
キャナリー「ロッキー
ロッキー「ふふ、帰ってきたぜ

キャナリー「地球に行ってしまって3年。何の音さたもなしでさ、いきなりだもん。驚いちまったよほんとに。
ロッキー「兄貴はどうしてる
キャナリー「独立軍に志願してうちを出てそれっきり。男はみんな同じね
ロッキー「あん?デロイアもだいぶ変わっちまったな
キャナリー「悪くなっちまったよむかしより

ラルターフ「厳しい情勢になってきましたねサマリンさん
サマリン「確かに、我々デロイアの独立を願うモノにとっては、今回のフォンシュタイン大佐の寝返りは許しがたい
ラルターフ「サマリンさんもやはり大佐は寝返ったと
サマリン「いや。最初からしくまれていたのでしょう
サマリン「要人たちの陰謀とドナンカシムは言ったが、乗せられたのは要人たちの方でしょう。あの二人に
ラルターフ「そしてデロイアに芽生えかけていた独立派も
サマリン「そうです。
サマリン「大佐の独立宣言にみごとにだまされました。まだ組織づくりも固まっていない独立派が、わっと表に出てしまいましたからね
ラルターフ「ということはドナンカシムの真の狙いは独立つぶしですね
サマリン「そのとおりです。デロイアの独立を阻止するためには、根は小さいうちに摘み取る方が楽ですからな
ラルターフ「その意味ではドナンカシムの方策の第一段階は成功したわけか
サマリン「次はどう出るか
ラルターフ「うむ…

ゲリラ兵「うわあ

クリン「!

ゲリラ兵「うわっ
ゲリラ兵「撃つなー
連邦兵「へへ
連邦兵「根性無しが
ゲリラ兵「うわっ
連邦兵「降伏するくらいなら初めから抵抗するな

クリン「やめろ!
クリン「やめろ!やめてくれ

クリン「やめてくれ、無抵抗じゃないか
連邦兵「地球人のくせに貴様ゲリラに味方する気か。情けは必要ねえんだよ
クリン「うわっ
連邦兵「デロイアは観光には向かねえぜ坊や。地獄を見たくなかったらさっさと地球に帰りな
クリン「なにっ
連邦兵「すごむなよ坊や
クリン「うわーっ
連邦兵「お
クリン「みんな、銃を捨てろ
クリン「なにしてるんだ、早く銃を捨てろ
クリン「脅しじゃないぞ
連邦兵「助けてくれ
クリン「何してる、早く逃げろ

連邦兵「おい、さっさと出てくるんだ
連邦兵「隠れんぼはもうおわりだよ
連邦兵「いい根性だが坊やにできるのはもうそこまでだ。出てこい
連邦兵「上等な真似してくれてよ、かわいがってやるから出てきな
連邦兵「なにやってんだ早く出てこい
クリン「うわーっ
クリン「この、この
連邦兵「このやろう、よくも
連邦兵「なかなかいい根性しているが、ゲリラを逃がされたんじゃ容赦できねえ

連邦兵「おおっ

クリン「危ないところを、助かりました
ラルターフ「この貸しはいつか返してもらうよ
サマリン「キミがクリンカシム君だね
クリン「ど、どうして僕のことを
サマリン「ラルターフ君の話の中でしきりに君の名前が出てきたのでね
クリン「えっ
ラルターフ「ん、んん
サマリン「はははははははは

ラルターフ「連邦軍に出入りする記者が一方ではゲリラの指導者にあっている。これが世の中だよ
サマリン「今度の父上たちの行動をどう考えるかね、クリン君
クリン「わからなくなっているんです。いま
ラルターフ「しかし、賞金とは考えましたね。密告者が増えれば増えるほど、デロイアの意思統一は難しくなる
サマリン「密告の愚かさに気付くはずです、そのうちに。お父上はデロイアの独立を恐れて今度の芝居を打って出たのです。逆に独立運動の機運を高め、デロイア人の結束は強まっていきますよ

サマリン「さっきラルターフ君がドナンカシムの方策は成功したといったが、むしろ失敗といった方がいいかもしれん
クリン「なぜ
サマリン「デロイア人は今度のことでいやでも戦いの中に投げ込まれてしまったのですよ
クリン「でも、武力では圧倒的に連邦軍の方が優れていますよ
サマリン「どんな独立でも武力だけでは勝ち取れない。しかし、武力なしで勝ち取ることはできない
クリン「!

ゲリラ「これはサマリンさん
サマリン「私の友達だ。安心してくれ

クリン「こ、これは
クリン「コンバットアーマー
サマリン「我々の科学力のすべてを注いだ。二重太陽、Xネブラ。デロイア星の特殊な条件に合わせて力を発揮できるように開発したものだ
クリン「しかしなぜ、敵側の指導者の息子である僕に
サマリン「君は君だ。ドナンカシムではない
クリン「はっ
サマリン「私は個人を信じる。組織だとか社会を後ろ盾にする人間は軽蔑する。個人があってこそ社会が成り立っているんだよ、クリン君

次回予告

デロイアゲリラが開発したXネブラ対応型コンバットアーマー・ダグラムは ついにその姿を見せた。その性能は? その力は? ダグラムが、デロイアに新たなる風雲を呼ぶ。
次回「裏切りのデロイア」 Not even justice, I want to get truth.
真実は見えるか。

第6話「暁の救出作戦」

(Na)反乱軍に捕らえられた連邦評議会のメンバーを救出するため、首都カーディナルに向かった連邦軍別働隊は、反乱軍の包囲を突破。思わぬ活躍をしたクリンを隊列に加えて進み、首都カーディナルを一望に見わたせる北8キロの地点バーディング・ヒルへと迫った。

レーク 「うむ…」

(Na)「暁の救出作戦」

茶色の髪の男 「よし、いこう」
薄い茶色の髪の男 「ああ」
「ん?」

レーク 「兵士の数は一個中隊くらいいるのか」
茶色の髪の男 「ハッ、2、300ってとこです。中洲の議事堂に通じる4か所の橋を固めている兵士が約200。議事堂には100くらいと思われます」
レーク 「コンバットアーマーの数は」
茶色の髪の男 「はっ、各ブリッジにそれぞれ1機ずつ。ただ我々が首都圏に侵入したことが知れ渡っていますから、あと2,3機が増援される可能性は大です」
レーク 「ご苦労だった。みんなを集めよう」
茶色の髪の男 「はい」
「 …」
「いやーあつい」

レーク 「作戦を指示する。よく聞いてくれ。代表メンバー12名が監禁されているのはこの議事堂の内部と断定する。救出作戦だが、まず夜を待ってレインジャー隊員10名が川に入り、この地点から上陸、背後をかく乱する。このときだいじなことは、この橋4箇所のかく乱を同時刻にやることだ。
グラッシン、君が指揮をとれ」
グラッシン 「はい」
レーク 「その時間に合わせてコンバットアーマー4機が出撃。橋を一つづつ受け持つ。ダーク、こっちは君が指揮を執ってくれ」
グラッシン 「はい」
レーク 「グラッシン、君たちはその混乱に乗じて一気に建物に突入しろ。いいな、やり直しはきかんぞ」
グラッシン 「わかりました」
レーク 「もうひとつ。作戦が開始されたら一切の交信を中止する。以上だ。では作戦開始まで十分に休養を取ってお…」
「!? 」
グラッシン 「あれは…敵のパトロールヘリです」
レーク 「かくれろ!」
「ようし、だいじょうぶだ」

ラルターフ 「どうしても引っかかるんですがねえ。捕われている要人が議事堂にいるという根拠ですよ」
ラコック 「そのことでしたら、もう説明したはずですが」
ラルターフ 「コンピュータ試算ですか」
ラコック 「それだけではありません。私が脱出するとき、反乱軍が上へ連れて行けと叫んでいるのを聞いています。失礼」
ラルターフ 「だったらそれはそういうことにしておきましょう」
ラコック 「ひとつお聞きしますが、あなたはなぜそのことにこだわるんですか」
ラルターフ 「反乱軍を指揮しているのがフォン・シュタインという男だからですよ」
ラコック 「どういう意味です、それは」
ラルターフ 「あの男は地球の士官学校を出ただけではなく、そのほとんどを地球ですごしている。めぐまれた環境にいて財界にも顔が広い。そんな経歴の男が本気で独立運動なんか起こす気になるかね。それも先頭に立ってだ」
ラコック 「どんな男が指揮しようが、反乱軍が存在している、それだけは事実ですよ」
ラルターフ 「それにしてもどうも連邦軍の狙いどおりにコトが進んでいる気がして仕方がない。そうは思わんかね」
ラコック 「人が不幸にあっているときでもそういうことを考えていられるあなたという人間を私は尊敬します」

ダーク 「ぼうや」
クリン 「コックピットを点検しておきます」
ダーク 「ちょっと来な」
クリン 「はい」
「なんですか」
ダーク 「この仕事で飯を食っている連中がいるんだ。じゃましないでおくんだな」
クリン 「えっ」
べリオン 「やっこさんたちに嫌われたら、コンバットアーマーひとつ満足に動かせねえぞ。そんなことも知らねえのか ん?」
クリン 「ぼくはただ…」
ダーク 「ごろっとしてコーヒーでも飲んでな」
ブルーム 「ミルクの方がいいんじゃねえか」
べリオン、ブルーム 「ははははは」
クリン 「わかりました!」

フォン 「デロイアを思う諸君、われわれは六日間待った。しかし地球側は何の返答も出していない。これ以上もう待てない。本日デロイア時間12時までに返答がない場合は人質全員を処刑する。私は声を高らかにいいたい。我々はもう待てない」
兵士 「大佐どの」
フォン 「どうだ、お客様の様子は」
兵士 「はっ、いまの放送で進展を見せるでしょう」
フォン 「 そうだな、彼らもバカではないはずだ」

評議員A 「ダメだ!デロイアの独立派絶対に認められん」
評議員B 「何度議論しても同じだ」
評議員C 「ミスター・カシム、あなたも意見は変わりませんか」
ドナン 「かわらん。独立は認められん」
評議員D 「なぜなんだ。地球の将来を考えたら独立させるのが最善だ。開拓時代とはわけがちがう。いまや歴史の必然だ」
評議員C 「私たち五人は同じ意見です。デロイアとの関係を正常なものにして、相互利益を図る時代に来ている。そういう認識です」
ドナン 「君たちは歴史を間違ってとらえておる。デロイアは今、まがりなりにも連邦の一員だ。
そして地球はこのデロイアに食料・資源の40%を依存している。だが独立を認めたらどうなる。一人ではできないケンカも二人になればできる。必ず利害が生じ戦争になる。これこそが歴史の必然だ」
評議員C 「だからこそ今のうちに手を打ち、友好関係を作っておくべきです」
評議員D 「彼らが独立を願うなら認める。それこそが友好関係を作る第一歩だ」
ドナン 「独立を認めたとしてだ、デロイアが地球に対して国交を断絶したらどうなる」
評議員C 「そんなバカなことはしないでしょう」
ドナン 「しないとどうしていえる。理性じゃあない、デロイア人が地球にいだいている感情だよ。理性ではなく感情がしばしば歴史を変えるのだよ」

兵士 「失礼します。待機している本隊にこちらの行動時刻をすべて暗号で伝えておきました」
レーク 「よし」

レーク 「まて」

ラルターフ 「いやあ、ちょっとお邪魔しますよ」
ラコック 「おやおや。今度はなんです」
ラルターフ 「たばこはありませんかな」
レーク 「ああ、どうぞ」
ラルターフ 「作戦がむだにならなければいいんですがね」
レーク 「成功させるだけさ」
ラルターフ 「そういのります」

クリン 「やっぱりおしっこしとこ」

評議員D 「タイムリミットだ。どうする」
評議員C 「カシム議長、どうします」
ドナン 「わかった。独立を認めるということでフォンシュタイン大佐にあってくる」

レーク 「時間だ。発進せよ!」
ダーク 「いくか」
「ぼうや、まちがえるなよ。おまえさんは東のブリッジだ」
クリン 「は、はい!」
べリオン 「まちがってもおれたちをうつなよ」
クリン 「はい!」
ブルーム 「ぼうや」
「ま、気楽にいこうや」
ドナン 「あ」
「はい」

(アイキャッチ)

兵士 「敵だー!」
隊長 「離れるな!持ち場から離れるんじゃない」

グラッシン 「いくぞ」

ダーク 「飛行機じゃねぇんだ。効くか!」

クリン 「うわっ」
「ああ」
「うわーーーーっ」

隊長 「東の橋が手薄になってる、そっちへまわれ!」
兵士 「はっ」

評議員たち  「!」

フォン 「始まりましたな」
ドナン 「もう引き返せんぞ」

グラッシン 「いまだ、いくぞ」
兵士 「うわっ」

レーク 「議事堂内に侵入するのに成功したぞ。時間もほぼ予定していた通りだ」
「問題はこれから先だ。いればいいがね」
ラコック 「それももうすぐわかります」
レーク 「いきましょう」
「通信兵、本隊に打電。『別働隊、議事堂内侵入に成功、ただちに作戦を開始されたし』」

通信兵 「別働隊が内部突入に成功しました」
指揮官 「よし、一気に落とすぞ!」

クリン 「うおあーーーーー」
「あーーーー」
「やった、やった、やったぞ!」
ダーク 「ぼうや!どうした」
クリン 「やりましたー」
ダーク 「やるじゃないか。よし、あとはここでじっとしてるんだ。本隊が市内を完全制圧するまで、中洲を占拠して新手をおさえる。それが俺たちの任務だ。ほら始まったぞ」
クリン 「ここに? ここにいなきゃいけないんですか」
ダーク 「親父さんのことが気になる気持ちはわかる。でもこれは命令だ。もう一度言うが持ち場を離れるんじゃないぞ」
クリン 「あっ」

兵士 「!」
グラッシン 「いない、むこうをさがせ」
「ほかだ 」

クリン 「父さん」
「はっ、父さん」
ダーク 「そっちはどうだぼうや」
「おい、返事をせんかクリン・カシム」
「おいクリン返事をせんか。クリン!」

グラッシン 「あの部屋にまちがいない」
レンジャー 「どうします」
グラッシン 「一気に突っ込もう」
クリン 「とうさーん」
「とうさーん!」
グラッシン 「とまれ!」
クリン 「!」
「うわあーーーー」
兵士 「うわあ」
グラッシン 「こいつ」

ドナン 「やあレーク」
レーク 「これは一体どういうことなんです」
ドナン 「心配をかけてすまなかったな」
クリン 「父さん!」
ドナン 「ん?」
「レーク、きみに迷惑をかけたんだろう? 許してやってくれ」
ラコック 「閣下、これはどういうことなんですか」
評議員B(オレンジの髪) 「我々も聞きたいな」
ドナン 「彼はそこにいる評議会のメンバーに煽動されて反乱を起こしたんだ」
評議員(マホガニーの髪) 「えっ!?」
ドナン 「つまり利用されたんだ」
評議員一同 「嘘だ!」
評議員 「貴様!」
評議員 「何をいうんだ君は!」
評議員B(オレンジの髪) 「貴様、この男とどんな取引をしたんだ!」
「どあっ」
フォン 「連れて行け!」
評議員(マホガニーの髪) 「君って男は恐ろしい人間だ! き、きみっ」
ラコック 「それでは今回の反乱事件は、彼らが策謀したというのですか」
ドナン 「その通りだ。彼らはデロイアを独立させることで利権を得ようとしたのだ。そのために自分たちはまず議会でデロイアの独立を必ず承認させる。その一方で独立をたやすくさせるためには、まずデロイアで事を起こせと迫ったのだ」
フォン 「その通りだ。議長と話をするまでは恥ずかしい話そこまで考えているとは思わなかった。私が望んでいたのは独立ではなく、植民星になっているこのデロイアを地球の8番目の州として認めさせることだった。評議会に議席を得ることがデロイアの望みだったのだ。それを奴らに利用されたのだ。絶対に許せん行為だ」
ドナン 「私は連邦評議会の議長としてデロイアに対し深く謝罪すると同時に、州立化を承認する決定を下った。当面暫定運営となろうが、代表はもちろんデロイアを愛するフォンシュタイン大佐だ。ほかは認められん!」
ラルターフ 「ビッグニュースですな。これで私も一年は食える」
「ということは地球側の今度の事件に対する報復行動は一切ないということですね」
ドナン 「煽動した評議会の代表を極刑に処さないこと。またこちらも反乱軍に対し一切報復しないこと。それが条件だ」
ラルターフ 「じつに丸くおさまったもんだ」
ラコック 「君っ!」
ドナン 「ラコック」
ラコック 「はい」
ドナン 「今のメッセージを文書化して地球に送ってくれたまえ」
ラコック 「はっ、ただちに」

べリオン 「きさま、なんだって無断で持ち場を離れたんだ」
ダーク 「ぼうや、よかったな。おやじさんよろこんでくれただろ」
べリオン 「だが命令違反は命令違反だぞ」
ダーク 「さ、むこうでコーヒーでも飲もう」
ラルターフ 「妙にあっけなかったな」

(Na.)SC152 10月6日付をもって、連邦評議会はデロイアを8番目の州として承認した。

次回予告

デロイア州誕生、自治権確立。デロイアの動乱は理想的に収束したかに見えたが、権力の暗闇はゲリラを生んだ。流れる赤き血は大地を塗りかえることができるか。
次回『ゲリラ狩り』
Not even justice,I want to get truth.
真実は見えるか。

第5話 戦時特例法205号

【サンドレア基地】
地上の兵士 「ムリだ!そういう命令なんだ!いいか、頼んだぞ」
デューイパイロット 「へっ、命令ね。わかったよ」

兵士 「前へすすめ!」

(Na)「戦時特例法205(にーまるご)号」

将校 「まだ格納庫の修理に取りかかっておらんのか!」
兵士 「はあ。なにぶん物資が不足しておりますので」
将校 「応急処置でもかまわん!とにかくすぐにかかれ!」
兵士 「はっ、わかりました」

クリン 「はあ…はあ…」
ラルターフ 「ん?」
ラルターフ 「よう、クリンくん」
ラルターフ 「?」
女性将校 「あん!」
ラルターフ 「ん? フフフ」
クリン 「あっ、どうもすみません」
クリン 「申し訳ありません、少尉!」
クリン 「あの、急いでいたもので。つい」
女性将校 「拾っていただけるかしら。暴走族さん」
クリン 「は、はい!」
女性将校 「以後基地の中では制限速度を守りなさい」
クリン 「はい」
クリン 「以後気をつけます! 失礼します!」
女性将校 「うふっ」

ラルターフ 「連れて行かないのか」
ラコック 「あなたなら連れて行きますか」
ラルターフ 「フフフフフ。あんたは理想的だな。ドナン・カシムの秘書としては」
ラコック 「おほめの言葉と受け取ってよろしいんでしょうか」
ラルターフ 「ご自由に。ところでどこに降りるんだ」
レーク 「カーディナルから120キロ地点だ」

クリン 「…」
ラコック(回想) 「救助はわれわれにまかせておきなさい」
クリン(回想) 「僕はお荷物だというんですか」
ラコック(回想) 「ではあなたがわれわれのためになにかできるというんですか」

通信兵 「ブラックダイヤからホワイトパールへ。へドルの海は荒れているか?ブラックダイヤからホワイトパールへ。へドルの海は荒れているか?」
通信相手 「こちらホワイトパール。へドルの海は波静か。カモメは島へ向かって飛ぶ」
通信兵 「了解」
通信兵 「ボイド隊は異常なく作戦どおり進撃しています」
基地司令(ロックウッド少佐) 「時間どおりだな」

フォン(夢) 「ドナン・カシム。きみは連邦評議会代表としてわれわれに協力してもらう」
ドナン(夢) 「ことわる」
フォン(夢) 「君らの時代はもう終わりを告げた。われわれに従わなければきみは二度と家族の顔は見られんことになる。それでもいいのかね」
ドナン(夢) 「なんといわれようと君らのいいなりにはなれん」
ドナン(夢) 「うわっ」
クリン 「!」

修理責任者 「おいそこの!なにやってん… もっと左だ、左!」
修理責任者 「貴様!こんなところに入ってきたら仕事ができんだろうが!さっさと出ていかんかこのくそったれが!」
運転手 「そんなこと言ったって上からの命令だから仕方ないだろ!そのでかぶつを運ぶんだとよ。人手がたりないんだ、手伝ってくれ!」

ラコック 「この2つのブリッジとゲートを2機で封鎖します」
ラルターフ 「ちょっと質問させてもらってもよろしいかね」
レーク 「いやだ、とは言えんでしょうな。あなたがたを怒らせたらあとがこわい。女性とジャーナリストは水爆を扱うように、というのが私のモットーでしてね」
ラルターフ 「ふん。フォン・シュタインの兵力2,000を2機で食い止められるというんですか」
レーク 「本隊も来る。人質救出の作戦は本隊と合流して行われる」
ラルターフ 「議事堂の兵力は?」
レーク 「コンピューターのモデル試算では200と出ている。残り兵力は市内をおさえているようだ」
ラルターフ 「その200の中へレインジャーを侵入させて残りのソルティックが突入するわけか」
レーク 「そうだ。最終モデルパターンから決定されたのがソルティック4機による突入作戦だ。フォン・シュタインの作戦能力もインプットされている」
ラルターフ 「ゲリラとのつながりは」
ラコック 「その情報ならわれわれよりあなたのほうがずっとお詳しいはずだ。あなたの記事はつねにわれわれにデロイアのことをよく教えてくれる」
ラルターフ 「オレは真実を伝えようとしているだけだ」
ラコック 「私は事実を読み取ろうとしています」
パイロット 「大尉!交信エリアから出ました」
ラルターフ 「中継ゾンデか。あれの世話にならんと基地と話もできんとはな」

整備兵A 「オーライオーライ、ストップ!」
整備兵B 「おーい、そっちは固定したか?」
整備兵C 「オッケーだ!」
整備兵D 「よーし終了だ!おっ?」
整備兵E 「? 誰だ!」
整備兵E 「またきさまか。何をするつもりだ!」
クリン 「すみません。ソルティックを借ります」
整備兵E 「バッキャロ、降りるんだ」
クリン 「失礼します」
整備兵E 「うおっ」
整備兵E 「あのやろう」
整備兵E 「そうだ。あの見習い坊やだ」
整備兵E 「おれが?冗談じゃねえ。だれがそそのかすか」
整備兵E 「しらねえよ。何をする気なのか」

ロックウッド 「おい、また敵襲か。人形あそびは一回で終わりだ!降りろ!これは命令だ!」
クリン 「いやです!僕も出撃させてください!」
ロックウッド 「くそっ」
ロックウッド 「ゲートを封鎖しろ!トレーラーがそっちに向かっている。いいか、子供だから銃は使うな」
門衛 「わかりました」
門衛 「おーい、止まれ」
門衛 「止まれ!こら止まらんか!と、えーい」

通信兵 「大尉!ロックウッド少佐から電話です」
レーク 「お待たせしました、ボイドです。はい、はい。ええっ、クリン・カシムが? わかりました。ここへあらわれたら命令違反で逮捕します」
レーク 「クリンがこちらへ向かっているらしい。基地のソルティックを持ち出してな」
ラコック 「んー。いつもこれだ。いったい彼は士官学校でなにを学んだんですかね」
レーク 「作戦はスケジュールどおり実行するぞ」
ラコック 「当然です。わたくしとしては、彼がわれわれに対して支障のないよう行動してくれるのを祈るだけです」

(アイキャッチ)
レーク 「ソルティック隊、ここから先は敵レーダーの補足範囲に入る。十分に注意しろ」
ダーク、ノートン、ベリオン、ブルーム 「了解」
レーク 「ボイドだ。クリンからの連絡は」
通信兵 「まだありません」
レーク 「あったらすぐしらせてくれ」
通信兵 「了解」

ラコック 「これ以上あなたに何を教えればいいのです。あなたはわれわれと行動をともにすることでじゅうぶんに特ダネをものにできるはずです」
ラルターフ 「そうですかな」
ラコック 「そうです。われわれは従軍記者としてのあなたに多分に敬意を表しているはずですが」
ラルターフ 「どうですかな。ならば今度の作戦の前提条件についてお教え願えないかね」
ラコック 「前提条件?」
ラルターフ 「ドナン・カシムが人質になって何日になる」
ラコック 「五日目です」
ラルターフ 「フォン・シュタインにとって、ドナン・カシムは切り札だ。五日の間にどこかに身柄を移されたことを考えなかったのかね」
ラコック 「つまりドナン・カシムがずっと議事堂に囚われていると見ていることですか?」
ラルターフ 「そうさ。俺の知る限りにおいて露ほどもそのことをうたぐってはいない」
ラコック 「しかしモデル試算の結果ですから」
ラルターフ 「そうかね。オレがフォン・シュタインならさっさと議事堂からエースを移すな。人目につかぬところへ。クーでデターの成否がかかっているとすればなおのこと」
ラコック 「あなたはフォン・シュタインではありません」
ラルターフ 「だが知っているよ。用心深くなければデロイア人として大佐まではなれん。フォン・シュタインの行動としては単純すぎる」
ラコック 「わたくしとしてはコンピューターの出した結果をただ信じるしかないんです」

ダーク 「ノートン。異常はないか」
ノートン 「静かなものよ」
ダーク 「ブルームは」
ブルーム 「あーあ。眠くなりそうだよ」
ダーク 「ベリオンはどうだ」
「オレなんか居眠り運転よ」
ブルーム 「ん?」
ダーク 「どうした」
ブルーム 「!」
ダーク 「うわっ」

レーク 「ダーク!どうした!」
ダーク 「敵のパトロールヘリと遭遇。一機を撃墜しました」
レーク 「周囲に敵の気配は?」
ダーク 「わかりません」
レーク 「見つけ次第殲滅しろ!われわれの存在を本部に知られてはいかん」
ダーク 「了解」
ダーク 「借りができたなノートン」
ノートン 「利子は高いぜ」
ダーク 「ふ、返すんなら早いほうがよさそうだな。いくぞ!」
ダーク 「通信ゾンデか」
ダーク 「やったか」
ノートン 「さすがだな」
ダーク 「まあな」
ノートン 「今度はオレだ」
ダーク 「おみごと」
ノートン 「このくらい目をつぶっててもあたるさ」
ダーク 「ノートン!」
ダーク 「集まりすぎだ!散れ!」
ダーク 「援護しろ!一発で倒す!」
クラブガンナー操縦士「下か!」
クラブガンナー操縦士「とべーっ」
ダーク 「まだいるはずだ、気をつけろ」

通信兵 「定刻どおりです。ボイド大尉の救出部隊もまもなくカーディナルに迫るはずです」
アナウンス 「三番隊、四番隊、発進!」

兵士 「大尉!敵の戦闘メカは4機のようです」
レーク 「ダーク!クラブガンナーは4機で全部だ。先頭の一機ははこちらでなんとかする。残りは頼んだぞ!」
ダーク 「了解!ブルーム、べリオン!後ろの三機をわれわれでたたく。いいな!」
ブルーム、ベリオン 「了解!」
ダーク 「いくぞ!」
ベリオン 「くそー、ブ厚い装甲だ!」

ダーク 「ベリオン、やたら撃ちまくってもだめだ!後ろを狙え!」
クリン 「近いな」
ベリオン 「ああ、わかっているがな、なかなかそうはうまくはいかねえんだ」
クリン 「あれか」
レーク 「いいか、合図とともにいっせいにコクピットを狙え。一発もはずすな! 5、4、3、2、1、てえ!」

兵士 「だ、だめだ!」
ダーク 「ブルーム、後ろへ!攻撃しろ!」
ブルーム 「わかった!」
兵士 「くるぞ、下がれ!」
兵士 「うわーっ」
レーク 「べりオン!済んだか?こっちがあぶない!たのむ!」
ベリオン 「了解!」
ベリオン 「ええい、くそう」
ラコック 「ああ」
ラコック 「クリンさん」
レーク 「クリン」
レーク 「!」

ダーク 「大尉、命令違反で逮捕しますか?」
レーク 「当然だな」
ラコック 「大尉、兵力の再点検を済ませたところなんですが、パイロット1名戦死、兵士5名負傷。そして、ソルティック1機を失いました。したがってわたくしは連邦評議会代表秘書官として、クリン・カシム君を補充要員として迎えるよう大尉に要請いたします」
クリン 「あ、あ、ありがとうラコックさん」
レーク 「しかしだな、ラコック」
ラコック 「わたくしの今の発言は、閣下の意向を受けた公人としての発言です。あなたがなにものであれ、パイロットとしては有能らしいということ、それだけです」
ラルターフ 「いいのかね、秘書官として」
ラコック 「サイコロを振ったまでです」
レーク 「クリン・カシム。戦時特例法205号に基づき、戦場における指揮官の権限において君を准尉に任じ、戦列に加わることを命ずる」
クリン 「はい!」
レーク 「よーし!ただちに出発する!」

【カーディナル市】
クリン 「父さん、待っててください。もうすぐ僕の手で父さんを助け出す。待っててくれ」

(Na.)SC152(いちごーに).10月5日未明。救出部隊は首都カーディナルを眼下にする北8キロ地点、バーディング・ヒルに達した。

次回予告

動乱の都カーディナルを眼下にして、クリンの心ははやる。
父は無事か。
鉄の戦士に翼付け、荒ぶる魂がテイクオフ。
次回「暁の救出作戦」
Not even justice, I want to get truth. 戦場の夜明けに真実が見えるか。

第4話 実戦のコクピット

客1 「きみ、なぜチケットを売らないんだ」
客2 「オレの予約はどうなってるんだ!」
係員 「もうしわけありません、軍命令で今朝から地球への便は閉鎖されているんです」
男 「そ、それはデロイアが独立宣言したためかね」
女 「戦争がはじまるの?」
男2 「いつ解除になるんだよ」
係員 「わからないんです、なにも。もうしわけありません」

(Na)「実戦のコクピット」

レーク 「入るぞ」
クリン 「はい」
レーク 「クリンくん」
クリン 「用意はできています。いつたちますか」
レーク 「ここはわれわれ軍人に任せて、君は地球に戻ったほうがいい。お母さんも心配してるだろうし」
クリン 「えっ」
レーク 「軍のルートで帰れる手続きをしておく」
クリン 「レーク兄さん!」
「レーク兄さん…」

レーク 「司令官、連邦評議会から反乱軍への解答はまだなんですか」
ブレナー 「まだない」
レーク 「そうですか」
ブレナー 「したがって解答前の軍の行動は慎重を要する。反乱軍を刺激して人質にもしものことがあると困るんでな」
レーク 「わかりました。わが別動隊は準備が整いしだい首都カーディナルへ出発します」
ラコック 「ボイド大尉、別動隊の編成は」
レーク 「ええ、アイアンコンバット5機、レインジャー1中隊、それにデューイ戦闘ヘリ3機です」
ラコック 「それじゃ少なすぎはしませんか」
レーク 「いえ、隠密行動をとるにはこれで十分だと思います」
ブレナー 「うむ。その後の情報によると反乱軍はサンドレアを次の目標に動きだしたらしい」
レーク 「サンドレア?」
ブレナー 「そうだ。北極基地からカーディナルへの中継地点だ」
ブレナー 「じゅうぶん気をつけてくれたまえボイド大尉。失敗は許されないからな」
レーク 「はっ」

クリン 「このまま黙って地球に戻れるものか」

クリン 「よし」
ビリー 「クリン!」
クリン 「?」
ビリー 「へへっ。やあ」
クリン 「ビリー!まだここにいたの」
ビリー 「ひどいよほんとに。軍命令とやらでさ、一晩止められちゃって。はやく帰りたいのに。クリンもカーディナルに?」
クリン 「ああ、そのつもりさ」
ビリー 「直行便はないんだって。サンドレアから鉄道じゃなくちゃならないんだぜ」
クリン 「え? そ、そうか…サンドレア回りしかないのか。ま、なんとかなる」
ビリー 「でも、クリンはデロイアのことはよくわかんねえんだろ?」
ロッキー 「ビリー!そんなやつにかまっているな」
ビリー 「でも… クリンは大変だもん、これから」
ロッキー 「やつだって子供じゃないんだ。変に気ぃ使っちゃ失礼だぜ。なあ」
「いこうぜ」
ビリー 「ま、待ってよ、ロッキー!」

ビリー 「ねえロッキー。どうしてクリンに冷たくすんの」
ロッキー 「俺たちとやつとは住む世界が違うんだ」
ビリー 「だけど、それはクリンのせいじゃないだろ。地球でだってそんなこと鼻にかけてるそぶりも見せなかったし」
ロッキー 「いいかビリー。現実はそうはいかないんだ。そんな甘いもんじゃないんだぜ」
ビリー 「…」

レーク 「クリンくん。クリンくん!」
レーク 「!」
レーク 「クリンくん!おっと」
ラコック 「ああ、クリンさんのことなら、軍に頼んでおきましょう」
レーク 「時間もないし、しかたない。そうするか」

【サンドレア空港】
ラルターフ 「クリンくん」
ラルターフ 「また会ったな、クリンくん」
クリン 「あなたは」
ラルターフ「いても立ってもいられなくなってここまで来たのはわかるがね、もう少し先のことも考えたほうがいい」
ラルターフ 「まあ、それがきみのいいところかもしれん。実はわたしもカーディナルの情報が知りたくてね」
クリン 「なんだってぼくにつきまとうんですか」
ラルターフ「ん?そうみえるか」
ラルターフ 「なんでと言われりゃ、あんたがドナン・カシムの息子だからさ」
ラルターフ 「おっと怒るな。顔見知りになっとけばなにかと都合がいい」
クリン 「… あっ」
ラルターフ「ん?」
ラルターフ 「フフフフ」

フェスタ「なんだよ、どういうことなんだよこれは」
駅員 「申し訳ありませんがカーディナルには当分の間入れません。軍命令で列車も当分運休です」
ビリー 「そんなバカな」
フェスタ 「空港じゃそんなこと一言も言わなかったぜ」
ビリー 「ここまで来て帰れないなんて俺やーだよ」
フェスタ 「どうする、ロッキー」
ロッキー 「ここまで来たんだ、歩いてだってカーディナルに行くぜ」
フェスタ 「そうだ。そのうち動き出すかもな」

ビリー 「あっ」
ビリー 「うわーっこんなとこ歩いてくの?」
ロッキー 「そうだ」

ビリー 「ねえ、ロッキー」
ロッキー 「なんだよ、うるせえな」
ビリー 「見てよ後ろ」
ロッキー 「ん?」
フェスタ 「あいつしつこいよな」
ビリー 「ねえ、一緒に行ったっていいじゃないかよ」
ロッキー 「ついてこられちゃ迷惑なんだよ」

フェスタ 「おい、駅だぜ」
みんな 「おっ」
チコ 「なんか様子がおかしいぜ」

兵士 「これより先は通行禁止だ。戻れ戻れ!」
ビリー 「なんだってんだよ。カーディナルに帰るのがなにがいけないんだよ」
兵士 「デロイア人だな」
フェスタ 「そうさ。カーディナル生まれよ」
兵士 「だったらなおさらダメだ。反乱軍に味方するかもしれんからな」
クリン 「!」
フェスタ 「ちっきしょう。よう、デロイアに帰ってきてからも地球人に命令されるなんてよ。冗談じゃねえぜ!」
兵士 「早く戻れ!」
ビリー 「へん。撃てるものなら撃ってみろってんだ」
みんな 「うわあっ」
フェスタ 「びっくりした」
ビリー 「本気で撃ちやがんの」
ロッキー 「フフ」
クリン 「フ」

アナウンサー 「デロイアの独立宣言を受けた連邦評議会はただちに北極ポートを閉鎖、反乱軍の次の行動にそなえています」
サラ 「お母様」
フィナ 「だいじょうぶですよ。お父様は」
デイジー 「おばさま」
フィナ 「いらっしゃい、デイジー」
デイジー 「おばさまごめんなさい」
デイジー 「こんなおそろしいことになるとは思ってもみなかったので」
フィナ 「ええ?」
デイジー 「クリンが、クリンがデロイアに行ったこと口止めされていたの」
フィナ 「クリンが」
サラ 「あの子ったら」

ラビン 「なに? クリンが? しかしどうしようもないだろうさ。いまそれどころじゃないんだ。またあとで」
ラビン 「あのバカが無鉄砲に」

社長 「デロイアで戦争がはじまれば軍事部門は大いに潤う。がんばってくれたまえよ」
秘書 「失礼いたします。ロイルチーフにご自宅からお電話が入っておりますが」
ロイル 「今は忙しい。悪いが、あとでかけなおすといってくれ」

サラ 「ラビン兄さんもロイルも仕事に夢中なんだから」
フィナ 「心配しなくてもクリンはだいじょうぶですよ」
デイジー 「おばさま」
サラ 「それにしてもロイルなんて戦争がはじまるのを喜んでいるみたい。ラビン兄さんにしても、今が出世のチャンスだといわんばかりの騒ぎよう」
フィナ 「男には少なからず野望がありますから」
デイジー 「クリンだけがおじ様のことを」
フィナ 「あの子はね、ドナンに似て純粋なのよ」

(アイキャッチ)

ラコック 「おっ」
ラコック 「ボイド大尉。ちょっと止めてください」

ラコック 「きみは」
ラルターフ「何度目ですかな。お会いするのは」
ラルターフ「これは毛嫌いされたものですな。カーディナルまでご一緒させていただきますよ。今度は」
レーク 「きみはたしか」
ラルターフ 「ラルターフです。APU通信の。ラコック氏には地球でずいぶんお世話になりましたよ。」
ラコック 「何度すっぱぬかれたことか」
ラルターフ 「ふふふ。情報も流しましたよ、逆に」

ビリー 「また空港に逆戻り?骨折り損のくたびれもうけだね」
チコ 「んー? フン、クーデターじゃしかたねえ」
フェスタ 「それもこれも地球人があんまりいばりくさるからよ!」
ビリー 「よしなよ」
ロッキー 「おっ」
クリン 「あっ、あれはレーク兄さんの部隊だ」
ビリー 「えっ? そうか、ねえクリン。あの部隊はカーディナルに行く途中なんだろ。便乗できないかな」
フェスタ 「そうだ。クリンの兄貴の部隊ならクリンのいうことくらい少しは聞いてくれるよな。ええクリン」
クリン 「あ、ああ」
ロッキー 「バカ!そんなことできっこねえだろ」
ビリー 「でも軍隊と一緒ならどの検問もフリーパスだ」
フェスタ 「そのほうが早くカーディナルに帰れるしよ。なあクリン、いいよな」
クリン 「うん」
ロッキー 「しかし、今俺たちがどんな立場にいるか考えてみろ」
チコ 「ロッキー。ここはひとつ折れてみようじゃねえか。な」
ロッキー 「ちっ」

ラルターフ 「このデロイアに高性能のコンバットアーマーが開発されているとのうわさですが…。どうなんでしょうかね」
レーク 「ラルターフさん、そのうわさは」
ラルターフ 「なんでも、そのコンバットアーマーはXネブラ対応型だというんですがね」
レーク 「Xネブラ対応型」
ラルターフ 「さよう。高周波コンピューターの性能を低下させるあのやっかいなXネブラ星雲のことはご存知ですな」
レーク 「おかげで最新鋭のコンピューター制御を備えた近代兵器もこの星ではお手上げだ」
ラルターフ 「だからXネブラ対応型コンバットアーマーがあれば、このデロイアでの戦闘は相当数有利になる。なのに」
レーク 「それがなにか」
ラルターフ 「いや。ああ、そのXネブラ対応型コンバットアーマーの完成を見ずにデロイアになぜクーデターが起こったか。このタイミングにこの動乱の重大な意味が隠されているように思うのですが。ねえラコック秘書官」
ラコック 「さあ。おっしゃる意味がよくわかりませんな」
ラルターフ 「あれは。弟さんではないかな」
レーク 「ええっ」
クリン 「レーク兄さん」
レーク 「クリンくん」
ラコック 「こんなところに来ていたんですか」
クリン 「助かりましたよ、レーク兄さん」
レーク 「!?」
クリン 「いても立ってもいられなくて先にここまできたものの、ここからさき軍の検問が厳しくて追い返されてしまいました」
レーク 「まあ来てしまったのはしょうがないとして、彼らは」
クリン 「彼らもカーディナルへ戻るところで足止めをくってしまって。悪いんですがみんなも同行させてやってください」
ラコック 「デロイア人ですね」
レーク 「…」
クリン 「そうです。地球での仲間で、すいぶん世話になった連中です」
ラコック 「いくらクリンさんの頼みでもこれだけはだめです」
クリン 「えっ」
ラコック 「クリンさんひとりならかまいませんが、デロイア人となると。今は微妙な時期ですからね」
クリン 「そんな。今ロッキーたちと戦っているわけじゃないんですよ。ラコックさん!」
ラコック 「同じデロイア人です」
クリン 「! レーク兄さん」
レーク 「クリンくん」
レーク 「ぼくもラコックさんと同じ意見だよ」
ラコック 「クリンさん。あなたはデロイアに何しに来たんです。こんなデロイア人を助けるためじゃなかったはずですがね」
フェスタ 「なにっ!」
クリン 「レーク兄さん」
クリン 「選びたまえ。どっちを取るか」
クリン 「!」
ロッキー 「フフ。だから言ったじゃねえか。ムリだって」
クリン 「ロッキー」
ロッキー 「オレも甘ちゃんだったぜ。ちょっとのあいだでも地球人のお情けをアテにしようとしたのがな。あばよクリン」
ラルターフ 「つらいところだな。クリンくん」

兵士 「うわーっ」
レーク 「敵襲だ!」
レーク 「クリンくん乗れ!行くぞ!」
クリン 「はい!」
レーク 「しっかりつかまっていろ」
ラルターフ 「よいしょっと」
クリン 「兄さんあれ!四本足!」
レーク 「ソルティックを大至急用意しろ!急げ!」
兵士 「おおっ」
兵士 「うわーっ」
兵士 「パイロットがやられた!予備員、急げ!」
レーク 「おおっ」
クリン 「兄さん!左だ!」
4人 「うわーっ」
クリン 「おっ?」
パイロット 「うわーっ」
クリン 「このままじゃ」
クリン 「ようし」
クリン 「しめた。パワーオンしてるぞ」

クリン 「立てよ!」
クリン 「おおっ」
クリン 「さすが新鋭機だ。クラブガンナーとは動きが違う」
クリン 「やった!」

クリン 「ん?あっ」
クリン 「うわーっ!」

レーク 「いかん!クラブガンナーは装甲が厚い。機銃じゃムリだ!」
クリン 「うわあーっ!」

レーク 「おおっ」

レーク 「クリン!」
クリン 「ううっ…」

クリン 「やったぞ… これがあれば父さんだって助け出すことができるぞ」

レーク 「かなりの損害がでてしまった」
ラコック 「でもソルティックが全滅しなくて不幸中の幸いでしたな」
クリン 「レーク兄さん!」
クリン 「みてくれましたか。できますよ。僕にも」
レーク 「勝手な行動をとるなといったはずだぞ、クリンくん。君はまだ軍人ではないんだ」
レルターフ 「しかしクリンくんのおかげで命拾いしたんですよ、ボイド大尉」
レーク 「…」

ラルターフ 「しかし腑に落ちない点が多すぎる。どうも引っかかる」

次回予告

吹き飛ぶ砲塔、ちぎれるキャタピラ、燃える装甲板。
踏みしめる大地から動乱の鼓動が伝わってくる。
父のいる都は未だ遠く、行軍は続く。運命はクリンを戦場へと誘う。
次回「戦時特例法205号」
Not even justice, I want to get truth. 真実は見えるか。

第3話 デロイアの動乱

【メドール州連邦軍士官学校】
クリン 「ふたつめ、撃破!」
声 「クリン!敵は右に回りこんだぞ!」
クリン 「これもいただき!」
クリン 「はっ」
バスク(回想) 「うわああああああ!」
クリン 「ああっ…」
クリン 「うわっ!」
教官 「どうした、カシム候補生」
教官 「バカモノ!もっとチームワークを大事にせい!実戦だったら貴様ひとりのために1中隊は全滅だぞ」
「はい、こちら操縦訓練実習室」
「!」
教官 「おい、クリン・カシム候補生!」
クリン 「はっ」
クリン 「な、なんでしょうか」
教官 「すぐうちへもどれ」
クリン 「はあ?」
教官 「父上がデロイアで行方不明になられたらしい」
クリン 「ゆ、行方不明」
教官 「会議場に武装した一団が乱入してきて、各州の代表とともに連れ去られたと秘書官のラコック氏から連絡があったそうだ。それ以外のことは、ここではわからん」

(Na)「デロイアの動乱」
サラ 「あなた、お気をつけて」
レーク 「ああ」
レーク 「それじゃ行ってきます」
ラビン 「たのむぞ」
クリン 「母さん!」
フィナ 「クリン」
クリン 「ほんとうなんですか、父さんが行方不明になったって」
ラビン 「学校のほうはどうしたんだ」
クリン 「それどころじゃないでしょ!」
サラ 「あたしが知らせたの」
ロイル 「それじゃ私は会社へ戻る」
ラビン 「ああ、途中まで一緒に行こう」
ロイル 「ああ」
ラビン 「私もオフィスに来客を待たせてあるんだ」
クリン 「待ってよ」
クリン 「こんなとき、仕事だなんていっていられるの!?」
ラビン 「どういう意味だ」
クリン 「父さんが行方不明になったんだぞ!すぐ現地に飛ぶとか、考えないの!?」
ロイル 「ん?レークが捜索隊の指揮官として現地へ向かう。彼に任せとけばいい」
クリン 「レーク兄さんは別じゃないか」
子供 「うわーん」
クリン 「血がつながっているものが、なんにもしないっていうのか?」
サラ 「おちつきなさいクリン」
クリン 「ぼくは行くぞ。デロイア星にいって父さんを探す!」
ラビン 「クリン!」
ロイル 「素人がじたばたしても仕方がないだろ。プロにまかせておけ」
クリン 「ぼくはぼくでやるさ!」
サラ 「クリン… クリン待ちなさい」
ラビン 「心配しなくていい。民間人を連れていくほど軍隊はあまくない」

クリン (父さんは三日前、空港で狙われた。そしてまた…。なぜなんだ)

兵士 「ボイド大尉。ソルティック五機、および武器・弾薬の搭載、完了しました」
レーク 「わかった。ご苦労」
クリン 「レークにいさーん」
レーク 「クリンくん」
クリン 「デロイアへ連れて行ってください」
レーク 「君を?」
クリン 「乗せてくれますね」
レーク 「だめだ。たとえ君でもな」
クリン 「ぼく一人くらいどうにでもなるでしょ」
レーク 「これは練習船じゃないんだ」
サングラスの兵士 「大尉、急いでください」
レーク 「悪く思わんでくれ。なにかわかりしだいすぐ連絡する」
クリン 「レーク兄さん」

店員 「デロイア行きでしたね。エコノミーなら空席がございます」
クリン 「それ一枚」
店員 「お支払い方法ですが」
クリン 「クレジットで」
店員 「かしこまりました。お客さま、カードは」
クリン 「今持ってないんだ」
店員 「は?」
クリン 「ぼくの名はクリン・カシム」
店員 「お名前だけでは…」
クリン 「市民ナンバー・72ダッシュ18287!」
店員 「決してうたがうわけではございませんが、カードがございませんと…」
店員 「そうだわ。こうなさっては。ご自宅にお電話を」
クリン 「自宅?ダメだ」
店員 「なにかご都合でも…」
クリン 「とにかくその切符はぼくが買う!誰にも売らないでくれよ」
店員 「あっ、お客さま!」
ラルターフ 「ああよろしいかな。電話で予約しておいたラルターフだ」
店員 「あっ、少々お待ちを」

デイジー 「もしもし」
クリン 「デイジーか。いてくれて助かった。頼みがある。まとまった金がいるんだ。すぐにだ。」
デイジー 「いまどこにいるの? …わかったわ。五分待ってて」
クリン 「悪いな」

店員 「お待たせいたしました。中に空港までのバスのチケットも入っております」
デイジー 「あきれた。お金もなしにデロイアへ行く気だったの?」
クリン 「ありがとう」
店員 「よい休暇を」
デイジー 「クリン!」
デイジー 「おばさまやお兄様はこのことご存知なの?」
クリン 「言えば行くなというに決まってるさ」
デイジー 「でも黙って行くなんてよくないわ」
クリン 「あのバイクだけど、うちに届けといてくれよ」
デイジー 「え?」
「あたしが?」

アナウンス 「空港行きをご利用のお客さまは二番フレームの23番にご乗車になってお待ちください」
デイジー 「クリン、あなたっていったい何を考えているの?どうしてもっとみんなとうまくやらないの。以前のあなたはこんなじゃなかったわ。お兄さんたちとも仲良くやってたし」
「二年ほど前かしら。兵学校に入ったあたりからあなたは変わったわ。そのころからよ。私にもあなたがわからなくなったのは」
クリン 「まだ3分ある」
デイジー 「まじめに聞いて!」
「あたし、クリンのこと知りたいの。もっと、もっと」
クリン 「えっ?」
アナウンス 「空港行き23便ご利用のお客様はお急ぎください。まもなく発車します」
デイジー 「言いたくないのなら、それでもいいわ。あなたにとっては、こどものときのまんまのあたしですものね」
クリン 「行くよ」
デイジー 「クリン!なぜ家に黙ってまで行くの?」
クリン 「ぼくにも、よく自分のことはわからないんだ。」
デイジー 「クリン…」
クリン 「兄さんたちは変わってしまった。…いや、ぼくが変わったのかもしれない」
デイジー 「クリン」
クリン 「必ず父さんを救い出してみせる。借りた旅費は必ず返す」
「むこうに着いたころ、母さんに知らせといてくれ!」

【ワーム・ホール・ポート(宇宙空港)】
アナウンス 「本日はメドール航空をご利用くださいましてありがとうございました。メドール発第71便ワームホールポート行き、定刻到着でございます。本船はただいまよりポートAブロック12番ホームに横付けされます。なお、デロイアにお乗りかえの方はBブロックで通関手続きをお願いします。お疲れ様でした」

アナウンス 「アテンションプリーズ、アテンションプリーズ、スペースアロー41便は3番ホームから出発です。ご乗船してお待ちください」

ラルターフ 「ああちょっと」
乗務員 「はい」
「どうぞ」
「ありがとうございました」

ラルターフ 「とるものもとりあえず向こうに行く君の気持ちはわかるな。まあ私にとってドナン・カシムは興味ある一政治家。でも君にとっては父親だ」
クリン 「あなたは?」
ラルターフ 「これさ」
クリン 「新聞記者」
ラルターフ 「APU通信のね。君がドナン・カシムの息子さんだってことはトラベルセンターで知った。君に関してほかのことは知らんがね」

アナウンス 「これよりワームホール入り口に移動します。もう一度シートベルトのご確認をお願いいたします。指示あるまでは絶対に席をお立ちにならないよう、かさねてお願いいたします。デロイア星までの所要時間は52時間25分でございます」

(アイキャッチ)

【デロイア星】
アナウンス 「お疲れ様でした。ご到着のお客様にご案内いたします。本日、北極空港から先への便は一部を除き空路閉鎖のため欠航しておりますのでご注意ください。なお、くわしいことは北極空港でお問い合わせください」

【デロイア星北極空港】
ナナシ 「くかー」
ビリー 「どうするよロッキー。もう10時間もここで足止めだぜ」
ロッキー 「やばい情勢になっているのは、首都のカーディナルだ。だったら、このサンドレア空港まででも行ってくれりゃいいんだ。そうすりゃあよ、あとは鉄道を利用してもカーディナルには帰れる」
ビリー 「あーあ冗談じゃねえよなあ。バイク売っぱらってまで金作ってご帰還したってのによ」
ロッキー 「まったくな」

クリン 「あっ」
クリン 「ロッキー」
クリン 「ロッキー!」
ロッキー 「クリン」
クリン 「帰ってきたのか」
ビリー 「地球にいてもいいことないんでね」
ロッキー 「おまえは何しに来たんだ」
クリン 「父さんが武装した連中に連れ去られたんだ」
ロッキー 「おまえの親父さんて、ドナン・カシムなんだってな」
ビリー 「いいところのおぼっちゃんなんだってな」
クリン 「…」
ロッキー 「デロイア人は地球の、それも政治家と聞くと虫唾が走るんだ」
クリン 「ロッキー…」
クリン 「またゆっくり会いたいな。じゃ」
ロッキー 「達者でな」
クリン 「ああ」

レーク 「すると首都カーディナルはいまや完全に武力で制圧されているというのかね」
ラコック 「はい、大尉。どんな組織が動いているのかはよくわかりませんが、植民地行政府施設はすべて連中に抑えられております」
レーク 「ふむ」
ラコック 「ドナン・カシムをはじめ地球代表が監禁されているのはおそらく、それらの施設でしょう」
レーク 「なるほど、よくわかった。とにかく、あなただけでも無事でよかった」
ラコック 「ありがとうございます」
レーク 「まずはここの司令に挨拶してこよう」
ラコック 「あ、ご案内しましょう」

ラコック 「北極駐屯基地司令、ブレナー大佐です」
レーク 「特別捜索隊隊長ボイド大尉です」
ブレナー 「やあ、とんだことになってしまったな。さぞ心配だろう」
レーク 「なにかとお手数をかけると思いますが、よろしくお願いいたします」
ブレナー 「われわれはデロイアの玄関口であるこの北極空港を守るのが主な任務だが、出来る限りの協力は惜しまないつもりだ」
レーク 「ありがとうございます」
ブレナー 「ああ、健闘を祈るぞ」
レーク 「ところで司令、このデロイアでソルティック以上の高性能コンバットアーマーがひそかに作られてるとのうわさを耳にしますが、確かな情報でしょうか」
ブレナー 「ああ、そのことかね。実はわれわれも調べてるんだが、今のところ何の実態もつかめておらん」
レーク 「そうですか」
ラコック 「はい、司令室です。なに?クリン君?」
レーク 「えっ?」
ラコック 「下の受付にきているそうですが、どうします?」

クリン 「兄さん!」
レーク 「クリンくん」
「ほんとに来ちまったのか」
クリン 「迷惑はかけませんよ」
レーク 「送り返したくてもできんさ。ワームポートも軍用を除き閉鎖するらしいからな」
ラコック 「軍ルートで送り返す手はありますが」
レーク 「いまさら何を言ってもしかたない。とにかく僕のそばにいるんだ。いいな」
スピーカーの声 「識別不明の飛行物体3機、急速接近中!識別不明の飛行物体3機、急速接近中!」

クリン 「レーク兄さん!」
レーク 「コンバットアーマー!」
ラコック 「ボイド大尉!これはまずいことになりましたな」
レーク 「っ!」
クリン 「レーク兄さん」
レーク 「聞こえるか!こちらボイド大尉。格納庫につないでくれ」
整備兵 「こちら整備班!」
レーク 「ボイド大尉だ!ソルティックを格納庫に運んで、すぐ組み立てるんだ!」
整備兵 「ただいま進行中です!」
レーク 「よーし、いいぞ!急げ!以上だ!」
整備兵 「了解!」

クリン 「兄さん危ない!」
レーク 「ええい」
「くそう、おどかしやがって」
クリン 「なぜこんなに接近してくるまでキャッチできなかったんです!?」
レーク 「そうかちくしょう、この時を待ってたのか!」
クリン 「なんのことです」
レーク 「デロイアは3ヶ月ほど前からXネブラの中に入ったんだ!」
クリン 「Xネブラ?」
レーク 「未観測要素の多い帯電性ガス星雲の一種だ。こいつはやっかいなことにあらゆるコンピューターの性能を極度に低下させやがるんだ」
クリン 「しかし軍は!そんなこと前もって知ってたんでしょう!?」
ラコック 「ああ、ところが、デロイアで反乱が起きることまでは読めなかったんですよ」
レーク 「伏せろ!」

ラコック 「それだけではありません」
クリン 「えっ?」
ラコック 「このデロイア星はご存知の通り二重太陽系で、電離層の乱れから交信電波の届く距離も限られてくるんですよ。ここでは接近戦で戦うしかないんです」
レーク 「しまった」
「やつら格納庫を狙う気だ」
クリン 「レーク兄さん!」
「レークにいさーん!」
ラコック 「クリンくん!危険だ、戻っていらっしゃい」
「よしなさいクリンくん」
「まったく、たいした高校生だよ」

レーク 「急げ!」
「うおっ」
レーク 「しまった…くそっ」
「おい、しっかりしろ」
ダーク 「くそったれめ!」
レーク 「! ダーク、動けるか?」
ダーク 「敵は?」
レーク 「四本足2機とヘリ3機だ。旧タイプとはいえてごわいぞ」
ダーク 「まかせといてください。いただいたプレゼントは倍にして返さなくちゃいけませんからね」
ダーク 「行きまーす!」
レーク 「頼むぞ」
ダーク 「いそげ!出すぞ!」
整備兵 「すぐ終わります」
ダーク 「どうした」
整備兵 「パワーがまだ十分ではありません」
ダーク 「よしわかった!はやく下におりろ!」
整備兵 「しかし!」
ダーク 「はやく降りんか!」
整備兵 「はっ!」
ダーク 「ポンコツめ!」
「出すぞ!」

レーク 「ダーク!」
レーク 「こいつ!」
ダーク 「もらった!」
ダーク 「!」
ダーク 「しまった、弾が出ない!」

レーク 「ダーク!何をしてる!撃て!」
ダーク 「えーい、このっ!」

レーク 「やったぞ!」
クリン 「すごいや!」
ダーク 「おい、弾が出ないぞ!代わりのガンを用意してくれ!」
整備兵 「はい!」
通信兵 「ヘリ2機、一時の方向!」
ダーク 「なにっ」

レーク 「おおっ」

ダーク 「残りの4本足はどこだ!」
通信兵 「3時の方向!」
ダーク 「ぐわあっ!」

ダーク 「代わりのガンはどうした!くそったれめ!」
整備兵 「準備してます!」
ダーク 「ようし、待ってる」
レーク 「ダーク、逃げろ!」
レーク 「どこへ行くクリン!戻れクリーン!」

ダーク 「それ来た!」

ダーク 「よーし、これでいつでも撃てるぞ!」

ダーク 「通信兵!だれだあのバカは!」
通信兵 「わかりません!」
ダーク 「おい、ほんとにやっちまったぞ。あきれたもんだ」
ダーク 「おーい、まだやるのか!?」
ダーク 「死ねい!」

クリン 「レーク兄さん」
レーク 「クリンくん!これは遊びとは違うんだ。以後勝手なことはしないでくれたまえ」
クリン 「すみません」
レーク 「腕をどうした」
クリン 「いえ…」
レーク 「しかし君ってやつは…」

ラコック 「フン、我が連邦軍も予想外にやるじゃないか。それにしてもあの坊や… ん? はじまるな」
兵士 「ボイド大尉!」
レーク 「どうした!」
兵士 「連中の組織が判明いたしました。デロイア独立正規軍と名乗っています」
レーク 「デロイア独立正規軍?」
兵士 「はっ、これから独立宣言の声明文を出す模様です」
クリン 「独立?」

フォン 「親愛なるデロイアの同胞諸君。われわれは立ち上がった。150年に及ぶ屈辱的な地球支配を打ち破り、自らの力で新しい歴史を刻む日が来たのだ。今日、この場で独立を宣言する」
「われわれは連邦評議会に要求する。ひとつ、デロイア植民地行政府を直ちに撤廃し、立法・行政・司法の権限をわれわれに(聞き取り不明)すこと」
兵士 「こいつは8軍のフォン・シュタイン大佐じゃないか!」
フォン 「ふたつ、デロイアに駐屯する連邦軍の即時全面面引き上げ。以上を要求する」
レーク 「電波をここまで送るとは、そうとう大がかりな中継基地があるな。反乱軍とはいえかなりの組織だ」
ラルターフ 「…ひっかかるな」
クリン 「え?」
ラルターフ 「今のフォン・シュタインという男さ」
フォン 「かさねて要求する。デロイア殖民地行政府をただちに…」

次回予告

動乱の星デロイア。 燃える大地、叫ぶ風、唸る空。
遥かなる父を求めて、獅子の血は燃える。
次回「実戦のコクピット」
Not justice, I want to get truth. 真実は見えるか。

第2話 始まりの銃声

【デロイア第8軍管区司令部】

【デロイア軍管区司令官ダンロック中将】

【デロイア軍管区参謀フォン・シュタイン大佐】
フォン 「閣下、ぜひご決意を。全デロイア人民は閣下の決起を熱望しております」
ダンロック 「無理をいわんでくれ大佐。私はもうこの歳だ、そのような情熱は残っとらんよ。それに自分の見るところではデロイアの客観情勢はそこまでは行っとらんと思う」
フォン 「事を起こせば、状況は後からついてまいります」
ダンロック 「大佐、このことは聞かなかったことにする。君も忘れろ」
フォン 「閣下!重ねてお願い申し上げます」
ダンロック 「大佐、くどいぞ」
フォン 「お聞き届け願えない時は、非常の手段をとらねばなりません」
ダンロック 「大佐、どうあってもというならこの老人を踏み越えていかねばならんぞ」
フォン 「やむを得ませんな」

(Na)一発の銃声が全ての始まりだった。SC152、デロイアは動乱の時を迎えようとしていた。

(Na)「始まりの銃声」

【SC152 地球】
暴走族A 「あーっ!」
暴走族B 「ざまあねえな、おい」
暴走族C 「おいおい」
暴走族A 「痛い、いた」

【ロッキー(デロイア人)】
ロッキー 「あーあ」
「次!」
暴走族 「いいぞー」
「いいよー」
ロッキー 「ん?」

【クリン・カシム】
ロッキー 「いつも見に来てるな」
「見ていて面白いか?」
「やってみるか?」
クリン 「え?」
ロッキー 「地球人に根性があればの話だがな」
暴走族 「へへへへ」
暴走族 「ほほーう」
暴走族 「根性て言葉を知ってるかい、ええ坊や」
フェスタ 「ロッキー、どうせやんなら板1枚増やそうぜ」
暴走族 「おーそりゃいいや、ハハハハハ」

ロッキー 「地球人にしちゃやるじゃないか」

【カシム邸】
モレア 「ドナン、それで明日は何時に発つ」
ドナン 「朝の10時だ」
モレア 「向こうへはどのくらい行ってるんだ?」
ドナン 「予定は20日間だ」
サラ 「お父様」
ドナン 「ん?」
サラ 「デロイアはむし暑いから着替えはたくさん持っていったほうがよくてよ」
ドナン 「はっはっはっは」
フィナ 「そういえばレークさんは向こうが長かったわね」

【長男 ラビン・カシム】
ラビン 「ああ。連邦会議を今回デロイアで開くっていうのは実に効果的ですよ」

【次男 ロイル・カシム】
ロイル 「デロイアはどこまでいっても地球の殖民星なんだ。そのことをデロイア人に再認識させといたほうがいい」
サラ 「向こうで開くっていうのはそういうことなの」
ラビン 「むろんだ」
ロイル 「近ごろのデロイア人の思い上がりは目に余るな」
ラビン 「地球の支配下にあるってことを思い知るべきだ。ねえお父さん」

【父 ドナン・カシム】
ドナン 「これだけは言っておく。おまえたちがデロイアをどう思おうと、いまや地球経済はデロイア抜きには成り立たないことをな」
モレア 「それにしてもデロイア資本は強くなりすぎたな、ドナン」
客 「ああ、その通りだ。なんとかせにゃならんな。このままでは…」
ラコック 「閣下。あの」
ドナン 「ん」
ラコック 「お電話です」
ドナン 「諸君、ちょっと失礼する」

ドナン 「うんうん、うん。そりゃよかった、ありがたい」
「コホードも会議出席に同意したぞ」
ラコック 「これで地球連邦すべての出席をとりつけることが出来ました」
ドナン 「うむ」
ラコック 「ああ、申し遅れましたが、総理も明日は見送りにみえるそうです」
ドナン 「うむ。よかった。全員の出席をとりつけられるとは思わなかった」

サラ 「デイジー、クリンのことが気になるの?」
デイジー 「!」
「いいえ…」
レーク 「はっはっはっは、顔が赤くなってるよ、デイジー」
「ああ、こらこらどうした。ケンカはだめだぞ」
「それにしても遅いな、クリンくんは」

歌 「おいら誰の子 (聞き取り不明)この子地球の子 帰ってきたんだママ 抱いておくれよパパ
ちからやさしい笑顔を見せて わすれ(聞き取り不明)ママ 覚えてないのかパパ (聞き取り不明)」

ロッキー 「オレはロッキーだ。おまえは?」
クリン 「クリン・カ…」
「あ…」
「クリンっていうんだ」
フェスタ 「オレはフェスタだ」
クリン 「よろしく」
ビゲル 「ビゲルだ」
アナレッグ 「アナレッグだ」
ショッパー 「ショッパーだ」
タックル 「タックル」
クリン 「よろしく」
ビリー 「おいらビリーだい」
チコ 「チコだ」
ナナシ 「おいら…おいら、その…」
チコ 「こいつは名無しってんだ」
ナナシ 「なはははは…だなッス」
クリン 「よろしく」
ロッキー 「地球人にしちゃいい根性してるぜ」
ビリー 「これから街に繰り出さないか」
ナナシ 「そーだなッス!」
ロッキー 「そーすっか!」
フェスタ 「よーし決まった!」
ビリー 「もち付き合うだろ、クリン」
クリン 「ああ」

暴走族 「おい!」
暴走族 「なんだなんだい」
ロッキー 「誰だ!」
覆面の男たち 「出てけ!デロイアの豚野郎!」
「ここは地球だ、おまえたちデロイア人の来るところじゃない」
「出て行かなきゃ、腕づくでたたき出してやるぞ!」
フェスタ 「冗談じゃねえや!やれるもんならやってみろ!」
覆面の男たち 「やっちまえ!」

「うわっ」
「うっ」
チコ 「うるせえんだよ」
ナナシ 「わーだなッス」
クリン 「うおっ」
「!」
「それ」
覆面の男 「う、うおーっ」
クリン 「うおっ」
ロッキー 「逃げろーっ!」
チコ 「ビリー!」
ビリー 「それーっ」

クリン 「…」
「!」
バスク 「気がついたかい」
「デロイア人を君が差別してないところは、さすがドナン・カシムの息子だな」
クリン 「!」
バスク 「君のことはよく知ってるよ」
クリン 「あなたは」
バスク 「名前はバスク。デロイア人だ。散歩の途中で今の騒動に出くわしてね」
「でも、君と話ができてうれしいよ。ぼくはドナン・カシムを尊敬しているんだ」
クリン 「尊敬」
バスク 「君は?」
クリン 「あなたとは違うかもしれないけど、好きだ」
バスク 「当然だよ。ドナン・カシムは立派な人だ。さっきのケンカじゃないが、ギクシャクしている地球とデロイアの関係をなおしてくれるのは君の父上しかいない」
「明日、できるなら見送りに行きたいな。手を振るだけでもいい。でも僕たち一般人じゃ空港には立ち入り禁止でダメか。
見送りたいっていうのはね、名もないデロイア人でも、地球の政治家に期待している人間がいるってことを知ってもらいたいからなんだよ」

ロイル 「はっはっはっは」
フィナ 「うふふ」
こども 「やーん…」
女性 「まあ。ほほほほ」
デイジー 「うふふっ」
「あ…」
サラ 「クリン!」
「遅かったじゃないのクリン」
クリン 「こんばんは」
サラ 「どうしたの?ケガしてるじゃないの」
クリン 「ちょっと転んじゃってね…おっと」
クリン 「レーク兄さん、いらっしゃい」
レーク 「やあ、元気かい」
デイジー 「クリン…」
クリン 「こんばんは」
クリン 「こんばんはモレアさん」
クリン 「兄さん、父さんは」
ロイル 「明日が早いから上で休んでる」
「どうしたんだいまごろ。ん?」

クリン 「ふう」
クリン 「父さんはベッド?」
ラコック 「いいえ、まだです」
クリン 「そう」

ドナン 「だれだ」
クリン 「父さん、入っていい?」
ドナン 「おおクリンか。どうした」
クリン 「父さん、今日は食事に出なくてごめんなさい」
ドナン 「そんなことはいい。ん?」
「どうした、ケガをしているではないか」
クリン 「ちょっとバイクで転んだんだ」
ドナン 「何をしてもいいが母さんには心配かけるなよ」
クリン 「うん。じゃ、明日早いから」
ドナン 「ああ」
クリン 「おやすみなさい」
ドナン 「おやすみ」
クリン 「あしたは見送りに行くよ。みんなとは一緒じゃないかもしれないけど」
ドナン 「ハハッ」

(アイキャッチ)

【メドール州空軍基地】
ドナン 「さて諸君、私に何を語らせようというのかな。婚約発表ならもうとっくにすませたはずだよ」
記者達 「はははは」
記者 「連邦評議会をデロイアで開く本当の狙いはなんですか?
評議員を持たないデロイアで連邦会議が開かれるなんて、かつてはなかったことですよ」
ドナン 「いろいろ取りざたされておるようだが、私としては当然のことと思っておる。つまり、デロイアも地球連邦の一員だという認識を新たにするとでも言おうか。ま、とにかくデロイアで連邦会議が開かれなかったのは未開拓時代からひきずっておった単なる慣習にすぎん。慣習というのはときにおいて破られるもんだよ」
記者 「デロイアの独立の機運に対するけん制という声もありますが」
ドナン 「そのような側面はまったくない」
ドナン 「おお」
「やあ総理、忙しいところをわざわざすまんですな」
「さて、総理もいらしたことだ、つまらん詮索はやめにして、内政についての質問なぞを展開してはどうかね」
総理 「ははははは、諸君、だいぶドナンをいじめたらしいな」
記者団 「ははははは…」
記者 「それでは総理にお伺いしますが、デロイア連邦評議会の一番の意味は…」

レーク 「お父さん、新聞記者たちにだいぶ食い下がられておりますな」
ラビン 「連中のしつこさには泣かされるよ」
ロイル 「いつも世論の代表者ヅラには辟易する」
モレア 「しかし時には役に立つものですぞ、マスコミというものは」
女性 「男と生まれても政治家にはなりたくないものね」
サラ 「お母さま、クリンは?来ているんでしょ」
フィナ 「ええ。デイジーに今さがしにいってもらっているわ」
ロイル 「ここにいればいいんだ。落ち着かんやつだな」
ラビン 「カシム家の恥だ、あいつは」
フィナ 「そんな言い方はしないでちょうだい」
ラビン 「父さんも母さんも甘やかしすぎるんですよ。今のままだと、いつかカシム家の名を汚しますよ」
大臣 「ラビンくん」
ラビン 「ああっ、これは大臣。いやあわざわざお忙しいところをありがとうございます」
「ロイル!これは弟のロイルです」
ロイル 「ロイルです。父からおうわさはかねがね」
サラ 「調子がいいこと。クリンにあの真似はムリね」

クリン (いない)
バスク(回想) 「でも、せめてゲートの外からでも送らせてもらうよ。ドナン・カシムを指示する一デロイア人としてね」
クリン (もう時間だ)
バスク 「やあ!クリンくん」
クリン 「あっ」
衛兵 「あの、失礼ですが一般の方は」
バスク 「ああ、僕はカシム家のものなんだ」
衛兵 「は?」
クリン 「来てくれたんですね」
衛兵 「お知りあいの方ですか」
クリン 「ええ」

クリン 「時間になっても姿が見えないので来ないのかと思いました」
バスク 「いやあ途中道が混んでね。バスが遅れたんだよ」
デイジー 「クリン!こんなところにいたの。みんな待ってるわよ。もう時間がないわ。はやくみんなのところにいきましょ」
クリン 「ぼく、あっちへはいかないよ。空気が合わないんだ」
デイジー 「どうしてそうなの?お母さま心配なさるわよ」
クリン 「母さんならわかってくれるさ。ぼくはこのバスクさんと… あっ?あれ?」
クリン 「バスクさん… どこへいってしまったんだろう」
デイジー 「どうしたの、クリン。クリン?クリンったら」

総理 「それじゃくれぐれも気をつけてな」
ドナン 「ありがとう」
ドナン 「行ってくる。フィナ、留守を頼んだぞ」
フィナ 「いってらっしゃい、あなた」
ロイル 「いってらっしゃい」
サラ&レーク&ラビン 「いってらっしゃい」

クリン 「いってらっしゃい、お父さん」

バスク 「はあ…はあ…」

ドナン 「ラコック、君のシートは?」
ラコック 「はあ、後ろのキャビンです」
ドナン 「ふむ。機長、ラコックくんに用のあるときは?」
機長 「シートの左端のボタンを押してください。あ、それです。シートバックにマイクが内臓されておりますので、そのほか用事がありましたらこのジュディア中尉にお申し付けください。わが第三空軍の名花です」
ジュディア 「ジュディア・オハラです。よろしく」
ドナン 「なるほど美人だ。ラコック、君はシャトルにいるあいだ失業だぞ」
ラコック 「は。その間、休養を取らせていただきます」
一同 「はははははは」

パイロットA 「おい!リニア砲と機銃には実弾が入っているから気をつけてくれよ!」
整備員A 「はっ」
パイロットA 「わっ」
バスク 「ふっふふ」
バスク 「とあっ」
整備員A 「うわっ」
整備員B 「どうした」
整備員C 「だれかそこにいるのか!」

整備員 「誰だっ、降りてこい」
整備員 「おい、ガードに連絡を取れ」
整備員 「はい」

バスク 「思った通りだ。旧型とあまり変わらん」
バスク 「ようし、行くぞ!」

整備員 「おおっ、動くぞ」
整備員 「うわあっ」

機長 「発進」

機長 「んっ」
機長 「あれはなんだ!」
バスク 「ドナン・カシムめ」
機長 「ぶつかるぞ!右に回避!」
バスク 「ええい」
機長 「うわーっ」

バスク 「くそーっ」
ガード 「中に入っているのは誰か!ただちにコンバットアーマーから出てこい!」
ガード 「うわあっ」
ガード 「うわあっ」

クリン 「なんだ!?あの爆発は」

ラビン 「いったい何があったのだ!?」
男 「大変です!閣下のシャトルがコンバットアーマーに襲われました!」
ラビン 「なんだと!?」
ラビン 「お母さん!」
フィナ 「…」

ガード 「対アーマーライフルの用意!やつの足を止めろ!」
ガード 「こっちを向きます!」
ガード 「ああっ」

クリン 「はあはあ」

ガード 「中のやつはソルティックに慣れてない。動きが鈍い!直接コックピットを狙撃しろ!」
ガード 「了解!」
バスク 「対アーマーライフル!くそう、やられてたまるか!」
ガード 「ゆっくり下がれ!」
バスク 「ま正面から勝負しようっていうのか。バカにするな!」
バスク 「くそっ、照準が合わない。な、なんで照準が合わないんだ!」
ガード 「ド素人め、こっちが後退しているのがわからないだろ!」
ガード 「てえ!」

クリン 「はあ、はあ…」
無線 「こちら、FS20。テロリストは射殺しました。」
オペレーター 「了解。テロリストの氏名・年齢・出身など、現時点で判明していることを知らせてください」
無線 「死亡3名。重傷4名。軽症8名。車輌大破2…」
無線 「テロリストはデロイア人。推定年齢25・6歳。身長175…」
ガード 「こいつか。デロイアのテロリストってのは」
ガード 「おーおー、派手にやられたなあ」
クリン 「バ…バスク!」

ラコック 「閣下。空港でのことは計画の中にはなかったはずですが」
ドナン 「とんだハプニングだ」
ラコック 「ま、とにもかくにも矢は放たれましたな」
ドナン 「うむ」

次回予告

物語は前奏曲を奏で始める。
呆然と立ちすくむクリンの胸に疑惑の雲が広がる。
デロイア。その遠い星にどんな運命が待ち受けているのか。歴史の歯車が軋み始めた。
次回「デロイアの動乱」
Not even justice, I want to get truth. 真実は見えるか。

第1話 光りの戦士

(Na)鉄の腕は萎え、鉄の足は力を失い、埋もれた砲は二度と火を吹くことはない。
鉄の戦士は死んだのだ。
狼も死んだ。獅子も死んだ。心に牙を持つものは、すべて逝ってしまった。

キャナリー 「あっ」
キャナリー 「!」
クリン 「あっはははは」
ビリー 「イエーイ」
ナナシ 「だはははは」
フェスタ 「へへへ」
キャナリー 「ロッキー!」
ロッキー 「はーっははは」
キャナリー 「あははははは」
クリン 「イエーイ!」

(Na)「光りの戦士」

(歌) 「西だ 東だ 南だ北だ トンナンシャーペイ右左 犬が西向きゃ尾は東 まわり全部が敵ばかり」

ナナシ 「なっし」

ロッキー 「まだ10分ある。いくぞ」

連絡員 「このダムシティは数少ない我が勢力圏だ。だが、ここの連邦軍ダンクーガー基地に補給物資が届けばその優劣が逆転する」
「だから、軍用列車をダンクーガー基地に入れてはならない。よってデロイア7はこの赤い谷で列車を襲撃、ダンクーガー基地への補給を阻止してもらいたい」
「推定される敵の戦力は護衛装甲列車2、兵員50だが、その他に」
ナナシ 「やっほう!」
フェスタ 「どうしたナナシ!」
ナナシ 「いまこんなでっけえ星が流れていったッス」
フェスタ 「バッキャロー!おどかすない。なんでえ流れ星ぐらい」
チコ 「フ」
ナナシ 「ほーらまた流れた!キレイだナッス」
チコ 「おーおー、おめえは詩人だよ」

ロッキー 「作戦を確認する。いいか」
ロッキー 「チコ!聞こえるか」
チコ 「オーケイ、聞こえるよ」
ロッキー 「俺が標的の足を止める。チコは警備走行車両を頼む。たぶん銃座は前に2箇所、最後部に2か所だろう」
ロッキー 「ビリー!おまえはその上からもし増援車両が来たら」
「こら!姿を出すなって」
「増援車両の足を止める」
ビリー 「わかった」
ロッキー 「クリン、ダグラムの機嫌はどうだ」
クリン 「上機嫌」
ロッキー 「よーし、始まったら一気に駆け下りろよ」
クリン 「オッケイ」
ロッキー 「フェスタ、いい場所は見つかったか」
フェスタ 「ばっちし」
ロッキー 「お前は唯一の対ガン戦力だ。アタックのタイミングを間違えるな」
フェスタ 「オーケイ」
ロッキー 「キャナリー、レーダーの方はどうだ」
キャナリー 「オッケイよ。これで半径20キロの空域はカバーできるわ。それより遠くは敵も味方もレーダーが利かないから、Xネブラ星雲さまさまね。目下のところ異常なし」

ナナシ 「シェーあたっ、いてえなッス」

フォン 「ダムシティは確かに戦略上の重要な地であり、ダンクーガー基地への補給が急を要しているのも事実だ。だが諸君らの任務はそこにあるのではないということを肝に命じてもらいたい。一にかかって、太陽の牙撃滅にあるのだ。あえて言えば列車は高価なる囮だ。この作戦にミゲロ大尉、君を指名したわしの期待を裏切らんでくれたまえ」
「繰り返していうが、期待しておる」
ミゲロ 「はっ、光栄であります。戦果をご期待ください」
「発進!」

ミゲロ 「作戦を繰り返すぞ!われわれの任務は列車およびその積載補給物資の護衛が目的ではない。あくまでも太陽の牙を倒すことにある。そして、列車が襲撃を受ける前には20キロの距離をとって進む。列車が襲撃を受け、長距離通信用ゾンデによるSOSが入りしだい現場に急行、太陽の牙を討つ!作戦が成功すれば二階級特進もんだぞ!きばれ!」

兵士 「よーべっぴんさん、どこいくんだい?」
兵士 「愛しい人でもおっかけてんのかい?え?」
兵士 「振り向いてよ」
兵士 「なにが入ってんだい」
兵士 「おっとっと」
分隊長 「アンジェロ、ほら見ちゃいられねえよ、手を貸してやれ」
アンジェロ 「よしきた!
おじょうさん、荷物を持ちますよ。遠慮することはねえ、きれいな人が苦労しているのを見ちゃいられねえ性質(たち)なんでさあ。ねえ、ちょっとなんとか言ってよ」
分隊長 「アンジェロ、ふられたな。二枚目がカタナシだぜ。ハハハハハ」

駅員 「ん?」
デイジー 「ダムシティへの次の便は何時に出ますか」
駅員 「ダムシティへまでの次の便は、あの臨時の軍用列車が入ったから2時間遅れの3時ですね」
デイジー 「ダムシティまでください」
駅員 「お、おひとりですか」
デイジー 「ええ」
駅員 「何の用事があるのか知らんが、あそこはあんたのような若い娘が行ところではありませんぞ。ダムシティは現在ゲリラの勢力下にありましてな。みたところあんた地球の人じゃろ」
デイジー 「ええ。でもどうしても行きたいんです」
駅員 「うーん悪いことは言わん。できたら行かんほうがいい。治安は最悪、というよりあそこは戦場ですぞ。いや列車だって、まともにダムシティにつく保証もないんじゃ。悪いことは言わん、ここから引き返しなさい」
デイジー 「ありがとう。でもどうしても行かなければならないんです」
駅員 「…」
デイジー 「ありがとう」

ラルターフ 「失礼。地球の方のようですな」
デイジー 「はい」
ラルターフ 「わたしも地球からでしてな。ちょっとかけてもよろしいかな」
ラルターフ 「地球はどちらから」
デイジー 「メドールです」
ラルターフ 「メドール」
デイジー 「メドールにいらしたことがおありなんですか?」
ラルターフ 「おお、これは失礼」
「メドールはクラシックなよい都だ。人間がすむにはあのようなところが理想かもしれませんな。しかし、あなたのような若いご婦人がなぜまたダムシティなぞに」
デイジー 「会いたい人がいるんです。ダムシティにいると聞きましたので、それで」
ラルターフ 「ほう、地球人のあなたがこんな辺境の地に」
「いや、私もダムシティで会いたい若者たちがいるんだ。ひとりはあなたと同じメドール出身の若者だ」
デイジー 「メドールの?」
ラルターフ 「私はあの若者たちに夢を見ておるんです。私自身の夢を」
ラルターフ 「私はこの列車に従軍記者として乗っとるんです。縁があったら彼の地でまたお会いしたいですな。じゃ」

(アイキャッチ)

フェスタ 「おい、ロッキー、あとどのくらいだ」
ロッキー 「5分たらずだ」
フェスタ 「おてんとさまは真上だぜ。くそ熱いなもう」
ビリー 「作戦終えたらはやく帰っていつもの店でビールをぐーっとやろうぜ」
フェスタ 「ナマいうんじゃねえよ未成年が」
キャナリー 「フフッ。とりあえずはクーラーにコーヒーが入ってるわよ」
フェスタ 「そいつはありがてえ」
「ところでよ、俺がほんとに心配してんのはよ、チコの頭なんだよな。なんせ直(じか)だからよ」
チコ 「だいじょうぶだ、慣れてるからな」
ロッキー 「時間だ。みんな、いまから行動開始まで交信停止だ。いいな!」
「ん?」
「よーし万全だ」
「ん!?」
「ふう、先乗り先行車両だ。あんなものをぶっとばしたところでなんにもならない。さっさと行っちまってくれ」
「!」
「止まるぞ!?爆薬が発見されたのか」
兵士 「よっと」
ロッキー 「ぷっ」
兵士 「よいしょ」
ロッキー 「ふふふふ、ははははは」
「おっ」

ラルターフ 「ふう、くそ暑いな。わしゃ汗っかきだからたまらん」
兵士 「ブンヤさんもよ、地球で芸能記者でもやってればラクでいいのによ」
ラルターフ 「わしゃそんな虚飾に満ちた世界なぞ興味はない。わしの知りたいのは人間の真実と可能性だ」
兵士 「よく言うぜ。ここにあるのはよ、バカ暑さと人殺しごっこだけだぜ!」
兵士たち 「ハハハハハハ!」
兵士 「ブンヤさんが見られるのは、アホらしさと絶望だけよ!」
ラルターフ 「ノーノーノーノー、断固ノーだ。わしゃこのデロイアにこそわしの知りたい人間の真実と人類の未来を見にきたんじゃ!
見てやる、そして書いてやる!わしゃ信じとるんじゃ」
兵士たち 「ハハハハハハハハ!」

兵士たち 「うわっ」

ロッキー 「出番だぞ。チコ!クリン!」
チコ 「そらよっ」
「あらったったっ!」
ロッキー 「おっ」

ロッキー 「くそっ」
フェスタ 「えーいっ!」
「ロッキー!大丈夫か!」
「おっ、先行車両が引き返してきやがったか。ビリー、うまくしとめろよ!」
ビリー 「やった!」
「ん?ああっ」

ミゲロ 「SOSをキャッチした!これより潜伏飛行で目標に向かう。5分後に敵に接触する」

ロッキー 「はやくしろ!新手がくるぞ!」
キャナリー 「敵機発見!距離13キロ。2分後に接触するわ」
? 「ああっ、消えたわ!」
フェスタ 「なんでえ!いったいどういうこったい」
キャナリー 「…」
フェスタ 「ロッキー!」
ロッキー 「いいから急げ!」
クリン 「おっ!?左1200から敵だぞ!?」
「やばい!谷を超低空で来たんだ!」
「うわーっ!」
「うわあーっ!」
ミゲロ 「デューイ戦闘ヘリは、谷場上のゲリラを殲滅せよ!ソルティック隊は谷に降下、ダグラムを倒せ!わが管制ヘリは上空1,000にとどまり、適時戦闘を指揮する!」

ロッキー 「くっそー。クリン!聞こえるか?無事か!」
クリン 「今のところはね。これからはちょっと自信持たないけど」
「キャナリー!リニアガンを撃ち出してくれ!飛び道具なしじゃまったく相手にならない!」
キャナリー 「方角は?」
クリン 「まっすぐでいい!真下にいる!」
キャナリー 「了解」
クリン 「装備の違いを思い知らせてやるぞ!」
クリン 「どうだ!」

チコ 「このやろう!」
「おおーっ」
ロッキー 「アホかお前!まっ正面からやったら命がいくつあっても足りないぞ!無茶するな!」
「ヘリコは俺に任せとけ!おまえはクリンの援護に回ってくれ!」
チコ 「へっ、わかった!」

小隊長 「よーしダブト絶対離すな!ガブル!ガブル!奴の装甲板は厚い。その距離では絶対貫通できん。至近距離で撃て!」
クリン 「えーい放せ!放せー!」
チコ 「最大パワーだ、一発で決まれよ!」
「あらあらっ」
クリン 「チコ!ようし!」

ナナシ 「うえーい…だなッス」

ミゲル 「2進級はおあずけか。よし基地に帰るぞ!」

クリン 「へーイ!逃げてった、逃げてった!」
「チコ!」
チコ 「んー?」
クリン 「さっきは助かったよ!」
チコ 「お互い様よ!」
「誰だ!?手をあげて出て来い!」
ラルターフ 「わしだわしだ!」
チコ 「おーっブンヤさん!こんなとこでなにしてんの!」
ラルターフ 「ダムシティに行けば君たちに会えるとおもってな。軍用列車に便乗したんだが、ドカーンと来て、気がついたら諸君らがいたってわけだ。ワハハハハハハ」」

キャナリー 「作戦は成功よ。早いとこ知らせてやってね」
「気をつけて。それっ」
ラルターフ 「この動乱で伝書鳩が長距離通信の最良策とは皮肉な星じゃな」
「そういえばこの先の駅で君と同じメドール出身の娘さんにあったよ」
クリン 「えっ?」
ラルターフ 「うーん、年のころも君と同じくらいだったな」

駅員 「娘さん!今入った連絡によりますとダムシティへの便は当分出ませんぞ」
デイジー 「ええっ?」
駅員 「この30キロ先の赤い谷でゲリラの破壊工作があったんじゃ。いやあ考えようによってはあんた運がええかもしれんぞ。あんな町にいったらそれこそ…」
デイジー 「クリン…」

フォン 「…」
ラコック 「大佐、どうやら作戦は失敗のようですな」
「そう深刻になることはありませんよ。私はもう慣れました」

ドナン 「うんうん、そうか。わかった」
ラコック 「獅子の子はやはり獅子ということですな」

ドナン 「クリン、邪魔をせんでくれ。時間がないのだよ、時間が」

(歌) 「西だ東だ南だ北だトンナンシャーペイ右左 犬が西向きゃ尾は東 回り全部が敵ばかり」

(Na)走る青春が、待つ青春が、追う青春が、泣く青春が…
数知れぬ青春が駆けぬけて行った。
炎の時は過ぎてしまったが、物語は語り継がれねばならない。永遠に…
Not justice,I want to get truth.

次回予告

荒野に朽ちる鉄の戦士は何故か。 風を追う少女は誰か。
狼のごとく心飢える青春が、獅子のように雄々しい青春がデロイアの大地を走る。
物語は一発の銃声で始まった。
次回「始まりの銃声」
Not justice, I want to get truth. 真実は見えるか。

次回予告一覧

ボトムズやガサラキでも爆裂していた高橋監督の予告、そのルーツはこれっす(いいきる)。 読めっ。そしてヤラレるのだっ。※注:映像からの聞き取りを文章化したものなので、正確ではない部分があるかもしれません。ご了承ください。 

第1話(光りの戦士)予告(番組予告)

Fight for what? Fight for who? スタフェラス二重太陽系第3惑星デロイア。
デイジー「えっ? …クリン…」
クリン「…何?」 ロッキー「(聞き取り不能)」
キャナリー「…消えたわ!」
チコ「(聞き取り不能)」
クリン「よーし!」
燃え上がる大地を、光の戦士達が駆け抜ける。 太陽の牙ダグラム Not even justice, I want to get truth.

第2話予告

荒野に朽ちる鉄の戦士は何故か。 風を追う少女は誰か。 狼のように心飢える青春が、獅子のように雄々しい青春が、デロイアの大地を走る。 物語は、一発の銃声で始まった。
次回「始まりの銃声」 Not justice, I want to get truth. 真実は見えるか。

第3話予告

物語は前奏曲を奏で始める。 呆然と立ち竦むクリンの胸に、疑惑の雲が広がる。 デロイア。その遠い星に、どんな運命が待ち受けているのか。 歴史の歯車が軋み始めた。
次回「デロイアの動乱」 Not even justice, I want to get truth. 真実は見えるか。

第4話予告

動乱の星デロイア。 燃える大地、叫ぶ風、唸る空。 遥かなる父を求めて、獅子の血は燃える。
次回「実戦のコクピット」 Not justice, I want to get truth. 真実は見えるか。

第5話予告

吹き飛ぶ砲塔、ちぎれるキャタピラ、燃える装甲板。 踏みしめる大地から動乱の鼓動が伝わってくる。 父のいる都は未だ遠く、行軍は続く。運命はクリンを戦場へと誘う。
次回「戦時特例法205号」 Not even justice, I want to get truth. 真実は見えるか。

第6話予告

動乱の都カーディナルを眼下にして、クリンの心ははやる。 父は無事か… 鉄の戦士に翼付け、荒ぶる魂がテイクオフ。
次回「暁の救出作戦」 Not even justice, I want to get truth. 戦場の夜明けに真実が見えるか。

第7話予告

デロイア州誕生。自治権確立。 デロイアの動乱は理想的に終息したかに見えたが、権力の暗闇がゲリラを生んだ。 植民の星に硝煙は消えない。流れる赤き血は大地を塗り替えることができるか。
次回「ゲリラ狩り」 Not even justice, I want to get truth. 真実は見えるか。

第8話予告

デロイアゲリラが開発したXネブラ対応型コンバットアーマー・ダグラムは ついにその姿を見せた。その性能は? その力は? ダグラムが、デロイアに新たなる風雲を呼ぶ。
次回「裏切りのデロイア」 Not even justice, I want to get truth. 真実は見えるか。

第9話予告

新鋭コンバットアーマー・ダグラムを巡り、植民の星に父と子の愛憎が渦巻く。 目には目を、歯には歯を。力こそが正義か。 次回「ダグラム奪回」 Not even justice, I want to get truth. 真実は見えるか。

第10話予告

それは許されぬコクピットなのか。それも運命(さだめ)か。 鉄の戦士との出会いが、若者を大きな河の流れへと投げ込む。 新たな武器を手に、若き戦士達は身構える。 追う者と追われる者、新たなドラマが始まる。
次回「ガルシア隊参戦」 Not even justice, I want to get truth. 真実は見えるか。

第11話予告

空回りする車輪、のめる足。 泥沼に嵌まり込んだクリン達。 そこにも犬のような臭覚でゲリラ狩りの手は延びる。 戦いは心を癒してくれない。 ふっ切れない思いは誰にぶつければいいのか。 父よ、答えてくれ。
次回「遠すぎた父」 Not even justice, I want to get truth. 真実は見えるか。

第12話予告

別れの言葉はいらない。もう、引き返さないと心に誓ったのだから。 ダグラムのために、流された血のために。 戦わなければならぬ。撃たなければいけない。 クリンの震える指先が、引き金に触れる…
次回「ためらいの照準」 Not even justice, I want to get truth. 真実は見えるか。

第13話予告

過ぎ去った思いは断ち切れ。後悔は戦場に置き去りにしろ。 明日のために考えなければならない。自ら、敵に襲い掛かるための作戦を。 流離う若きゲリラ達には、悲しみよりも、身を守る弾丸の方が重いのだから。
次回「敵補給隊から奪え」 Not even justice, I want to get truth. 真実は見えるか。

第14話予告

作戦は成功した。だが、ダグラムに意外な弱点が。 連邦軍の捕虜を道連れに、砂漠の逃避行は続く。 誰がそれを望んだのか。誰も望みはしない。 今はただ、戦士となって、駆け抜けねばならぬ。
次回「やっかいな捕虜」 Not even justice, I want to get truth. 真実は見えるか。

第15話予告

吹き荒れる砂嵐。照り付ける太陽。 砂漠は巨大な蟻地獄のようにダグラムを捉えて放さない。 デザートガンナーを戦列に加え、絶対の優位に立ったガルシアは ゲリラ達に巧妙な罠を仕掛ける。
次回「ダグラム砂に沈む」 Not even justice, I want to get truth. 真実は見えるか。

第16話予告

今はこうする外はない。 何が待っていようと、敵の手の中へと歩いていく外に、何が出来るというのだ。 だが、負けなくない。誰にも、何にも。
次回「砂漠に熱く燃えて」 Not even justice, I want to get truth. 真実は見えるか。

第17話予告

起死回生。ハックルの寝返りにより危機を脱したクリン達は、一路、 希望の街ボナールへと向かう。 だが、面目を掛けたガルシアの執念が、鬼火のように砂漠に燃える。
次回「死に神の執念」 Not even justice, I want to get truth. 真実は見えるか。

第18話予告

戦いに犠牲は付き物と言い切るには、あまりにも突然のフェスタの死。 悲しみをねじ伏せ、戦士達は闇雲に進む。 この砂漠の向こうに、希望の街ボナールがある。 デロイアの大義を護るため、ダグラムをボナールへ! 若者は信じて走った。だが…

次回「蜃気楼の街」 Not even justice, I want to get truth. 真実は見えるか。

第19話予告

無残に砕かれた戦士達の夢。希望の街の裏切りに、若者達の絆も揺れる。 自由が何だ。独立が何だ。消えかかった闘志は蘇るか。
次回「包囲網を破れ」 Not even justice, I want to get truth. 真実は見えるか。

第20話予告

そうだ、ただ前だけを見続ければいい。 戻る場所も、帰る家も、幼なじみと語る言葉も、もう無いのだから。 若者達よ、贋物の祭を潰せ! 大人のその仮面を剥ぎ取るのだ!
次回「偽りのグランプリ」 Not even justice, I want to get truth. 真実は見えるか。

第21話予告

権力に一矢報いて意気揚がる若き戦士達。 巻き返しを図る権力者は、連邦軍屈指の戦闘プロフェッショナルを呼び寄せる。 その氷のような頭脳が、ダグラムを、ゲリラ達を追いつめる。
次回「計算された奇襲」 Not even justice, I want to get truth. 真実は見えるか。

第22話予告

新たなる敵。新たなる味方。 昏迷深めるデロイアの大地を、若きゲリラ達が走る。 新たなる標的を定め、更なる闘志を抱いて。 走れ! 戦いの終わる日まで、戦いの最中(さなか)を。
次回「襲撃作戦一石二鳥」 Not even justice, I want to get truth. 真実は見えるか。

第23話予告

明日の勝利を目指し、連帯を求めるゲリラ達。 互いに励まし、絆強める集まりの筈だったが、 余りにも遠い道のりが、厚い壁が、舐め合うべき傷を更に広げる。 こんな時にこそ、あの人がいてくれたら…
次回「狙われたゲリラ会議」 Not even justice, I want to get truth. 真実は見えるか。

第24話予告

サマリン博士がいないのが悔しい。博士がいればゲリラ達を纏めることが出来るはず。 若き戦士達の願いが通じたのか、博士の居場所が分かった。 バラフ軍刑務所D独居房。音に聞こえた脱走不可能、難攻不落の要塞刑務所!
次回「サマリン救出作戦」 Not even justice, I want to get truth. 真実は見えるか。

第25話予告

潜り込めるか、鉄壁の牢獄。衛るザルツェフ。攻めるJ・ロック。 バラフ軍刑務所で再会した両雄には、火花散る過去が… 敵を、手強い敵を! 愛しいライバルよ、私はお前に会いたかった…!
次回「潜入バラフ軍刑務所」 Not even justice, I want to get truth. 真実は見えるか。

第26話予告

土に伏し、風の声を聞きながら、若き戦士は振り返る。 あれから既に半年が過ぎようとしている。 思えば暖かく、限りなく優しい日々であった。 SC.152 10月1日。 一発の銃声が植民星デロイアに動乱をもたらし、若者の運命を変えた…
次回「振りむけば遠く…」 Not even justice, I want to get truth. 真実は見えるか。

第27話予告

揺れる時代が若者を行動に駆り立てる。時代が若者を変える。若者が時代を動かす。 だが、一人を追い、一人を求めて鍛えられる青春がある。 少女が心決める時、もう一つの旅が始まる。
次回「戦場に来たデイジー」 Not even justice, I want to get truth. 真実は見えるか。

第28話予告

憎しみが戦火を呼び、戦いが暗い欲望を生む。 銃火飛び交う陰に権力を望み、密かに爪を研ぎ、牙を磨く男達がいる。 時代はますますうねり、人々は、嵐の中に立ち尽くす。
次回「戦火の陰の打算」 Not even justice, I want to get truth. 真実は見えるか。

第29話予告

理想を追う者は追え。正義を語る者は語れ。 私に掲げる旗などは無い。目の前には昇らねばならない階段が有る。 欲望に道連れは不要だ。一人でやるさ。理想や正義など暗闇で眠れ!
次回「ラコックの策謀」 Not even justice, I want to get truth. 真実は見えるか。

第30話予告

海の彼方から激闘の大地が呼んでいる。胸の高なりを銅鑼(どら)の音(ね)に変えて、若者は船出した。 色々な物を捨ててきた。色々な人と別れてきた。 デボヤ海記に曰く、「彼の地が我らに望むものは何。彼の地が我らに恵まんとするものは何。」
次回、「パルミナに渡る日」 Not even justice,I want to get truth.真実は見えるか。

第31話予告

人の世は誰が操るか。群衆のマリオネット、目に見えぬ糸は彩を成し、混迷のドラマへと人々を誘(いざな)う。 デボヤ海記に曰く、「荒々しき大地を渡る風は熱く、人々はただ光りさす彼方をめざした。」
次回、「パルミナの熱い風」 Not even justice,I want to get truth.真実は見えるか。

第32話予告

パルミナはまさにデロイアの火薬庫。とどまることを知らない熱い想いが、導火線に火をつけた。 弾ける火花が目指す先はドガ。血気ははやる、ドガへ、ドガへ。 パルミナに時代の風穴は吹くか。
次回、「血気はやる進軍」 Not even justice,I want to get truth.真実は見えるか。

第33話予告

思わぬ大敗は独立への陣痛か。 戦いの炎は夜空を駆け、混沌の大陸に戦いの火種を散らす。 時のうねりは風を呼び、パルミナの大地を吹き抜ける。 風は聞く、風は見る。人の世の悲しみを、そして激しさを。
次回、「戦火は村々に」 Not even justice,I want to get truth.真実は見えるか。

第34話予告

望み求めることに、戦いが避け得ぬものならば、流される血からは目を背けまい。 だが、せめて戦うは己(おの)が手で、己が足でと望むのは、戦士として未熟なのか。 デボヤ海記に曰く、光ある者は弓手(ゆんで)に極み(きわみ)を、馬手(めて)に惑いを、 しかして心に牙を持てり、と。
次回、「武器は誰がために」 Not even justice,I want to get truth.真実は見えるか。

第35話予告

時の流れの中で、出会い、別れ、そしてまた巡り会う。 炎の走る動乱の地に、少女が戦士の胸に問うものは何? 戦士が少女の瞳に見るものは何? デボヤ海記に曰く、空と海出会いて風走り、大地を分かつ、と。
次回、「再会の野戦病院」 Not even justice,I want to get truth.真実は見えるか。

第36話予告

戦士の行く手を阻まんとして、大地は裂け、空は燃える。 地を走る者は大地に問う、流される血は誰の為に。 心に翼持つ者は空に問う、時の行く手を遮る者は誰だ。
次回、「塞がれた行く手」 Not even justice,I want to get truth.真実は見えるか。

第37話予告

歩まねばならぬ道がある。渡らねばならない川がある。 幾筋かの道がある。幾つかの橋がある。今、命賭けて選択の時。 心に浮かぶただ一筋の道。
次回、「選択の渡河作戦」 Not even justice,I want to get truth.真実は見えるか。

第38話予告

地球連邦内の主導権争いが産んだ真空の三角地帯、アンディ鉱山。 そこが果たして、デロイア軍独立誕生の地となるのか。 あの山なみを越えればと思う弟と、越えさせてはならんと決意する兄とが、 立場を賭け、主義を賭け、命を賭けて再会する。
次回、「アンディ鉱山封鎖」 Not even justice,I want to get truth.真実は見えるか。

第39話予告

希望の中に策略が潜む。約束の中に打算が踊る。 目指す彼の地は、パワープレイが生み出した、危険で脆い真空の三角地帯。 だから今、この鉄路をただ走れ。車輪を軋ませ、ただ目指せ。 もう爆走列車に乗り合わせてしまったのだから。 次回、「封鎖山脈を越えろ」 Not even justice,I want to get truth.真実は見えるか。

第40話予告

アンディ鉱山潜入を果たしたゲリラたちにとって、しばしの安息の日々が訪れるはずであったが、 戦いが憎しみを産むのか。憎しみが戦いを呼ぶのか。 組織を離れ、主義からも遠く、ただ復讐の業火を燃やす、たった2人の軍隊があった。
次回、「戦士の休日 前編」 Not even justice,I want to get truth.真実は見えるか。

第41話予告

鉄の塊に憎しみが乗り移り、阿修羅のごとく襲いかかる。 この敵はなにか。この気迫は何か。心軋ませる始めての恐怖。 戦い終わって雨が降る。心を冷やし、骨まで濡らす雨が降る。 クリン、戦場に発熱する。
次回、「戦士の休日 後編」 Not even justice,I want to get truth.真実は見えるか。

第42話予告

人は何故戦い、人は何故別れねばならね。 鉄と炎が、主義と理想が激突する、植民星デロイア。 歴史の激流に飲まれつつ、人は叫ぶ。人は、泣く。 今ここに辿る戦乱の足跡。
次回、「動乱の航跡」 Not even justice,I want to get truth.真実は見えるか。

第43話予告

戦いの質が変わる。戦いのスケールが変わる。 ゲリラ達の戦いはレジスタンスの域を越え、全デロイアの解放へと向かう。 参謀が欲しい。戦略的に、戦術的に大軍を動かす司令官が欲しい。 サマリン、J-ロックがこの男と見込んだ、その男の名は!
次回、「仕組まれた背信」 Not even justice,I want to get truth.真実は見えるか。

第44話予告

若き戦士達は叫んできた。信じあえる強さ、それが俺達の誇りだ。 だが人の心は弱い。表があれば裏もある。 一度点ぜられた疑惑の黒い染みは、若者達の心を蝕んで広がった。結束が、揺らぐ。
次回、「疑惑の二重スパイ」 Not even justice,I want to get truth.真実は見えるか。

第45話予告

時には嘘と解っていても信じたいのが女、とリタは言った。 だがそれがどんなに冷厳な事実としても、受け入れられぬことがある。 動乱の時代の波に彷徨う(さまよう)根なし草が、花もつけずに凶弾に沈んだ。
次回、「夢散らす銃声」 Not even justice,I want to get truth.真実は見えるか。

第46話予告

一触即発の緊張をはらんで不気味な膠着を続けるアンディに、一人の男が降り立った。 フォンシュタイン大佐をして「最も頼りになる軍人」と言わしめた、ジャッキー・ザルツェフ少佐である。 時を同じくしてパルミナ連邦軍基地に、最も危険な男が降り立った。
次回、「術策と機略」 Not even justice,I want to get truth.真実は見えるか。

第47話予告

持たらされた悲しい知らせに、若者の心が激しく歪み、絶望の狂気が走る。 もう決して帰らぬ者を追って、決死の爆走が地獄を目指す。 やがて全てが終わり、戦場を静寂が支配し、戦士の心が冷えてゆく。
次回、「悲しみの爆走」 Not even justice,I want to get truth.真実は見えるか。

第48話予告

望むと望まぬとに関わらず、戦いは独立へと向け組織化されてゆく。 肥大する戦争のメカニズムの中に組み込まれていく若者の呻(うめ)きが、歯車の軋みのごとく戦場に流れる。 情念を見失った戦いに、戦士の魂がとまどう。
次回、「その名は解放軍遊撃隊」 Not even justice,I want to get truth.真実は見えるか。

第49話予告

信念とは何だ。戦いとは何だ。力とは何だ。 それぞれの未来を見つめる父と子が、地球とデロイアとに別れ、それぞれの戦場に立つ。
次回、「共同作戦の軋み」 Not even justice,I want to get truth.真実は見えるか。

第50話予告

作戦遂行のためには目の前の味方を見殺しにするのも組織戦の鉄則。 肥大化する戦争が、戦士の心を押し潰す。 戦争とは何だ。硝煙の彼方に理想がかすむ。 俺達の戦いが見えなくなってきた。
次回、「戦う者の掟」 Not even justice,I want to get truth.真実は見えるか。

第51話予告

裁判なしでのデロイア人ゲリラの銃殺命令を拒否。 パルミナの連邦軍内、一補給基地でのこのささいな出来事が、 その後のデロイアの戦局を大きく塗り替えていこうとは、 この時点で予測した者は誰一人としていなかった。
次回、「見えはじめた亀裂」 Not even justice,I want to get truth.真実は見えるか。

第52話予告

連邦内の不協和音を力でねじ伏せたドナン・カシムは、アンディ鉱山総攻撃を決意。 情勢の急変を察知したサマリンは、総員のアンディ鉱山無血脱出を計画した。 エクソダス、明日のデロイアの解放をめざして、世紀の大脱出が始まる。
次回、「アンディ鉱山攻撃命令」 Not even justice,I want to get truth.真実は見えるか。

第53話予告

連邦軍内の軍紀の乱れは、ついにデロイア兵の地球人上官への反抗という形をとり爆発した。 武器を取り、基地内に立て篭るデロイア兵600。 ドナン、フォンシュタイン、レーク、サマリン、ザルツェフの、胸の中を稲妻が走った。
次回、「反撃の導火線」 Not even justice,I want to get truth.真実は見えるか。

第54話予告

時代の本流は、明らかなる河口を目指して流れはじめた。 反乱を起こしたデロイア兵がゲリラと手を結ぶという思わぬ事態にショックを受けた州政府は、パルミナへ向けて、第8軍最精鋭部隊の派遣を決めた。 組織と、人と、鉄と、火が、対決の時を迎える。
次回「再びドガへ向けて」 Not even justice, I want to get truth. 真実は見えるか。

第55話予告

猛将マノン戴く連邦軍。智将ザルツェフ率いる解放軍。 両軍は、パルミナの命運を賭けて、決戦地スタンレー高原へと兵を進めた。 スタンレー高原南方5キロに両将の眼が留まる。 ウェーブ大地。ここだ、ここがスタンレーの喉首だ!
次回「戦略台地を奪取せよ」 Not even justice, I want to get truth. 真実は見えるか。

第56話予告

勢いに乗る解放軍。戦力に優る連邦軍。 パルミナの覇権を賭けて、スタンレー高原に両軍が激突する。 寄せる怒涛、能く岩を穿つか。巨岩、また波頭を裂くか。 パルミナの命運が決まる。
次回「スタンレー高原の攻防」 Not even justice, I want to get truth. 真実は見えるか。

第57話予告

スタンレー高原の決戦に勝利した解放軍は、その余勢を駆ってドガ市を目指した。 パルミナの心臓部に解放旗が迫る。 折も折、カーディナルのドナンの体内で、運命の時限装置が秒読みを開始した。
次回「ひるがえる解放旗」 Not even justice, I want to get truth. 真実は見えるか。

第58話予告

ドナン倒る。この衝撃的事実は、眠っていた人間の野心を揺り起こした。 俺が、俺が、俺が…! 植民の星、動乱の地に、生臭くパンドラの箱の蓋が開く。
次回「解き放たれた野心」 Not even justice, I want to get truth. 真実は見えるか。

第59話予告

ドガ市奪回にフォン・シュタイン政権の命運を掛けて、怒涛の如く攻め寄せる大艦船群。 受けてザルツェフは、この一戦に、生まれたばかりの人民政府の存続を占う。 戦火を遠く離れた地球では、次代の権力を握らんとする若き野心家が策謀を巡らせていた。
次回「威信かける海戦」 Not even justice, I want to get truth. 真実は見えるか。

第60話予告

光りあるところ、必ず影がある。 デロイアの動乱は、複雑にその光源を変え、人の世の盛衰に微妙なる彩りを演出する。 移りゆく時の流れは、歴史を何処(いづく)へと運ぶのか…
次回「デロイアの光と影」 Not even justice, I want to get truth. 真実は見えるか。

第61話予告

雪が溶ければ何になる。雪が溶ければ春が来る。 他愛無いクイズに秘められた、平和への祈り。 戦いを経ずして勝ち取れる平和はないものか。 若者達は、己の胸に問いつつも、寒風吹きすさぶ戦場に向かう。
次回「北極ポートへ向けて」 Not even justice, I want to get truth. 真実は見えるか。

第62話予告

向かい風激しく、振り返れば光る道。振り返れば熱い風。 新生デロイアの揺り篭、パルミナに刻まれた勇士達の足跡。 今、一筋の道が語り掛ける。一筋の道が、独立デロイアへの座標を示す。
次回「きざまれた光る道」 Not even justice, I want to get truth. 真実は見えるか。

第63話予告

理想を掲げて、一枚岩の結束を誇る解放軍であったが、度重なる勝利が心のゆるみを呼んだか。 ふと見せたわずかな団結の隙間に、猛々しい野心がどす黒い息吹を吹きかけた。 解放軍に真の危機が訪れる。
次回「落とされた黒い滴」 Not even justice, I want to get truth. 真実は見えるか。

第64話予告

フォン大佐の放った連邦群特殊部隊は、予測を上回る戦果を挙げた。 解放軍は、進軍を阻む大河を前にして、眼にみえぬ敵に脅えた。 一方、ドガでは、ラコックの落とした黒い染みが、じわじわと人民政府内を侵食しはじめた。
次回「濁流の罠」 Not even justice, I want to get truth. 真実は見えるか。

第65話予告

この山を越えれば北極ポート。ここが天王山。 だが雪が、氷が、風が、解放軍の行く手を阻む。 8軍最後の防衛線、天然の要塞カルナック山脈が立ちふさがる。 熱い思いは、極寒の山岳戦に勝利を呼べるか。
次回「攻略・白銀の要塞」 Not even justice, I want to get truth. 真実は見えるか。

第66話予告

白い城壁が、解放軍の北上を拒み続ける。 だが、どんなに困難でも、どんなに犠牲を払おうとも、 ここを越えねば、新しい時代は呼べない。 デロイア150年の歴史の分水嶺、カルナック。 北か、南か。歴史はどちらに流れるか。
次回「激戦・カルナック越え」 Not even justice, I want to get truth. 真実は見えるか。

第67話予告

遠く聞こえる砲声に破られた夢。ほんの一時見た権力の夢。 戦火に照らされて、今、浮き上がるデロイアへの想い。 代表として、軍人として、人間として、デロイア人として、 今こそ、真実の決断が迫られる。
次回「北極に散った決断」 Not even justice, I want to get truth. 真実は見えるか。

第68話予告

デロイアを動かしていた一人の男の死が呼び水になり、 動乱の星の混沌は更に広がり、更に深まる。 裏切りか、信念か、私欲か、大義か。 前線の硝煙、より激しく、歴史の舞台裏に矢玉が飛び交う… 撃たれるのは誰か?
次回「テーブルについた者達」 Not even justice, I want to get truth. 真実は見えるか。

第69話予告

まさに巨星墜つ。 人類の危機を、地球とデロイアに君臨したドナン・カシムが、 動乱の最中にその生涯を終えようとしている。 愛し、背き、恐れ、離れて、今やはり愛する父よ。 クリンの心は叫ぶ…、会いたい!
次回「ドナン・カシム死す」 Not even justice, I want to get truth. 真実は見えるか。

第70話予告

歴史とは、時の流れの必然か。それとも神の気まぐれか。 意外や、人が仕組むのか。 植民の星に妖怪が笑う。 笛吹けば人は踊ると、妖怪が己の書いた筋書きに酔う。
次回「武装解除」 Not even justice, I want to get truth. 真実は見えるか。

第71話予告

理想と現実、二筋の流れが交錯し、寄り合わさる。 歴史の事実が模られる。 今、ファンファーレが鳴り、デロイアの新時代の幕が開けられる。 だが、記された歴史の表に、真実はあるのか…
次回「粉飾の凱旋パレード」 Not even justice, I want to get truth. 真実は見えるか。

第72話予告

時代に光を当てた英雄が、その光の作り出した影に塗り込められようとしている。 若者達は願った。光にふさわしき人に輝きを! 若者達はまた走りはじめた。自分達の走り行く先がどこかも解らずに。 だからこそ、自分達の未来を指し示す人を求めて…!
次回「英雄奪回」 Not even justice, I want to get truth. 真実は見えるか。

第73話予告

大樹のような人だった。熱く明日を語る人だった。 だが、その人の瞳は暗く、その唇は黙然として閉ざされたままだった。 若者達は戸惑う…、何が、どうなったのだ?! 若者達の声が、砂漠に吸い込まれる。
次回「沈黙する指導者」 Not even justice, I want to get truth. 真実は見えるか。

第74話予告

現実というものが、こんなにも味気ないものか。 時には絶望という情念の落差が、方向性を持たぬ疾走を生む。 暴走…、止めねばならぬ、わが命を賭けても。 それが残された我が使命。彼等の人生の白き余白の広さ故に… 次回「大いなる説得」 Not even justice, I want to get truth. 真実は見えるか。

第75話予告

大いなる巌のような人は笑顔を残した。 海のように豊かな人は志を託した。 炎のように熱き人々は叫びを残した。 昨日までの時代を動かした人達は去っていった。 今、立ち止まり、静かに、そして、熱く振り返る時…
最終回「燃えつきたあとに」 Not even justice, I want to get truth. 真実は見えるか。