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真実はみえるか。

#13 敵補給隊から奪え

ビリー 「ふう」
フェスタ 「なさけねえよなあ、食いもんもねえなんてよ」
ビリー 「人家なんてどこにもないよ」
フェスタ 「ほんとかよ。ちっ。」
  フェスタ「ん?伏せろ」
ビリー 「こっちへくるぞ」

ガルシア隊兵士 「やつらはまだこのへんにいるはずだ」
  「ようし、もう少し先に行くぞ」
  「こちらグレード。西に行ってみる」

フェスタ 「つけられていたんだ。やばいぜ」
ビリー 「みんなに知らせようぜ」
フェスタ 「ああ」

(Na)「ためらいの照準」

デスタン 「えーい」
ロッキー 「武器弾薬食料は底をつくし、おまけにダグラムは動かねえときている。ジープ一台じゃどうしょうもねえよ」
チコ 「最悪」
ナナシ 「だなっす」
  「おお?な、だあー、なし」

ダーク(回想) 「うわあーっ」

ビリー 「ロッキー」
ロッキー 「どうだ、食料をくれそうなうちはあったか」
ビリー 「それどころじゃないよ」
フェスタ 「ガルシア隊が俺達を探してうろついてるぜ
デスタン 「なんだって?それでやつらは」
フェスタ 「オタオタすんねえ。いっちまったよ」
ビリー 「いつまでもここにはいられないぜ」
ロッキー 「ああ」
デスタン 「出発だ。すぐ出発だ。ぐずぐずしないでトラックに乗り込め」
ロッキー 「ダグラムはどうするんだよ」
デスタン 「置いていく」
ロッキー 「置いて?」
デスタン 「燃料がなくて動かないんじゃここに置いていくしかないだろ。隠しておいて後で取りにくればいい」
ロッキー 「冗談じゃねえよ。なんのために苦労して持ってきたと思ってんだい」
キャナリー 「ボナールの仲間はダグラムの到着を待ってるのよ」
デスタン 「戦いは流動的なものだ。その場の状況で判断をくだし、行動を選択しなくてはならん」
ビリー 「調子良すぎるじゃん」
デスタン 「なに」
フェスタ 「いつもそうじゃねえかよ。都合のいいときは偉そうに言って、悪くなったときは置いて行こうってんじゃな」
デスタン 「選択を誤ったら生き残れん。そんなことがわからんのか」
  「ふん」
クリン 「ダグラムを置いていったら負けだ」
  「負けたくない」
デスタン 「指揮官は私だ、君じゃない」
ロッキー 「誰だっていいじゃねえか」
デスタン 「なに」
デビッド 「どうするんです、出発するんですかしないんですか」
デスタン 「もう言ったはずだ」
ロッキー 「俺達は残るぜ。置いてなんかいけるか」
デスタン 「ジープは置いていってやる。移動するときはダグラムをちゃんと隠していけ」
フェスタ 「なんだよ、偉そうによ」
ビリー 「もっともらしいこと言って、自分が助かりたいだけなんだい」
デスタン 「ちっ、指揮官なしで戦えると思ってるんだ。あいつらはアマチュアだ」

ビリー 「トレーラーをかっぱらうって、このへんに基地があんの?」
ロッキー 「わからねえ」
キャナリー 「それじゃ手に入れようがないわね」
フェスタ 「食いもんはどうすんだよ食いもんはよ。腹が減っちゃ戦は出来ねえっていうぜ」
ロッキー 「少し黙ってろおまえは」
フェスタ 「へいへい」
チコ 「行くも地獄のこるも地獄、お手上げだな」
クリン 「…こっちに無線機が2台あったね」
ロッキー 「ジープに一台、それにビリーのかっぱらってきたやつが一台。それがどうかしたのか」
クリン 「うまくいけば全部手に入るよ」
ロッキー、ビリー 「全部?」
クリン 「そう、全部だ」
フェスタ 「ぜ、全部ってお前もちろんその…なあ」
クリン 「この近くにガルシア隊がいるなら、その無線機二台をうまく使ってまずコンバットアーマー隊をおびき出すんだ」
ロッキー 「やつらトレーラーなんか持っているのか」
クリン 「持ってるのは補給隊だけだ」
ロッキー 「補給隊?」
ビリー 「なんだいそれ」
クリン 「コンバットアーマー隊は戦闘第一だけを考えた部隊だ。だから最大限にその能力を発揮するために余計なものは一切持ち歩かないんだ。その代わり補給隊というのがあって生活物資、燃料、それから修理部品などを持って別働隊として支援して一緒に動くんだ。」
フェスタ 「へえ、そんなもんがあるのか」
ロッキー 「それで、コンバットアーマー隊をおびき出せばその補給隊ってのは必ず出てくるのか」
クリン 「コンバットアーマーを使う場合、必ず10キロ以内に置くことになってる。だからコンバットアーマー隊が移動すれば必ず補給隊も移動するんだ。規模はまちまちだけど、最低でも2機使っていれば4個分隊。人数にして40人くらいが支援して動く」
ロッキー 「ほーう、その補給隊を襲えば全部手に入るってわけか」
クリン 「ダクラムの燃料もだ」
フェスタ 「やたらめったら詳しいんだな」
クリン 「士官学校で習ったんだ。今言ったようなことはコンバットアーマー戦の常識なんだよ」
フェスタ 「へえ、おっそろしいよな。俺達よ、そんなことも知らないでドンパチやってたんだからな」
ロッキー 「その補給隊をおびき出す作戦、成功する自信はあるか」
クリン 「自信があるかって言われると困るけど」
ロッキー 「ないのか」
クリン 「いや、ないわけじゃない」
ロッキー 「ははは、だったらお前に任せる。やってみようぜ」
フェスタ 「食いもんも手に入るんならバッチリじゃない。やろうぜやろうぜ」
ビリー 「うん」
  「ロッキーいいだろ、みんな」
チコ 「ああ」
クリン 「わかった、やろう。まず最初にやることはコンバットアーマーをおびき出す作戦だ。ここから一番近い町はどこだろう」
キャナリー 「マナカウラよ」
クリン 「マナカウラ」
キャナリー 「北へ10キロくらい行ったところにある町よ」
クリン 「あ、ありがとう」
キャナリー 「あなたのためにやるんじゃないわ」
ロッキー 「よせ」
クリン 「ちょうど10キロか」

ガルシア隊兵士 「まだ入ってはいねえと思うがマナカウラに行ってみるか」
デスタン 「コースを変えよう」

クリン 「周波数を変えながらそのたびに同じことを言うんだ。パトロール隊と連絡しているくらいだから、どれか向こうの耳に入るはずだ」
チコ 「まかせとけって。敵の4キロ以内に飛びこみゃいいんだろ」
キャナリー 「とにかくやってみるわ。デロイアのためにね」
チコ 「へっ。いってきます指揮官殿」
クリン 「よ、よせよ」
ロッキー 「いいじゃねえか。作戦立てたのはお前なんだからな」
チコ 「ほんじゃ」

クリン 「うまくいけば補給隊はこの辺に移動してくるよ」
ロッキー 「どうしてこのへんだってわかる」
クリン 「ここを出たら町までは見たとおりの砂漠だ。敵が襲ってくることを考えたら360度見られるようなところには出ないさ」
ロッキー 「なるほどな。ここなら岩山を背にできるってわけか」

チコ 「あたりを注意してよく見といてくれよ」
キャナリー 「うん」
チコ 「フェスタ達はパトロール隊がこっちから来たといってたな。このへんにいるにちげえねえ。おっと」

チコ 「!」
キャナリー 「あっ、なに?」
チコ 「なんだよ、このまままっすぐいけねえのかよ」
  「あっと」
キャナリー 「どうしたの」
チコ 「みてみろ」
キャナリー 「ガルシア隊だわ」
チコ 「幸先いいぜ。んじゃおっぱじめっか」
キャナリー 「うん」

チコ 「あらよ」

ガルシア 「まだ見つからねえのか」
オッペ 「マナカウラを調べに行きやした」
ガルシア 「夜までには見つけねえと逃げられるぜ」
オッペ 「へへへへへ、逃げられねえって卦が出てますぜ」

チコ 「ダグラムが故障して身動きが取れねえんだ。おーい、聞こえるか」

チコ 「ダグラムが故障した。聞こえるか」

チコ 「聞こえるか、ダグラム」
ガルシア 「!」
チコ 「ダグラムが故障して動きが取れない」
  「へへへ」
キャナリー 「いまどこ?」
チコ 「詳しい場所は言えない。マナカウラの近くだ」
キャナリー 「だったら、街へ入って修理工場へいくといいわ。一番号はEの12(いちに)4Aよ。
チコ 「わかった、すぐいく」
チコ 「盗聴されるといけねえから詳しいことはそっちに行ってからだ」
キャナリー 「わかったわ」

ガルシア 「くそ、やっぱりこのへんにいたのか。それにしてもマナカウラの町にダグラムの工場があったとはな」
オッペ 「どうしやす」
ガルシア 「町に行って徹底的に工場を探すんだ。故障したダグラムならいつでもたたける」
オッペ 「出発だ!

オッペ 「急げ!」
ガルシア 「みんなついてこい。補給隊にも連絡を入れるんだ」

チコ 「こんなこと考えつくなんてクリンの野郎もたいしたもんだぜ
キャナリー 「第一段階は成功ね」
チコ 「そういうこと」

(アイキャッチ)

ロッキー 「クリン、座ってろよ。指揮官はデンとかまえてりゃいいんだ」
クリン 「う、うん」
ビリー 「あっ、ガルシア隊だ」
ロッキー 「ん?」
フェスタ 「コンバットアーマーも来るぜ」

ロッキー 「やったぜクリン。おびき出しに成功したらしい」
クリン 「うん。あとは補給隊が動いてくれれば」
ロッキー 「ん?」
  「チコたちだ」
チコ 「どうだ、やつらここ通ったろ」
ロッキー 「よくやった。うまくいきそうだぜ」
ビリー 「なんか、来るよ」
ロッキー、クリン 「ん?」

ビリー 「補給隊だ」

ビリー 「行っちゃう」
クリン 「そ、そんなはずは」

(アイキャッチ)

ロッキー 「かくれろ」

兵士A 「この先はムリだな。このへんがいい」
兵士B 「ああ」
兵士C 「おーい、止まれ」

ロッキー 「驚いたな。お前の行ったとおりドンピシャだぜ」
クリン 「そ、そうだね。暗くなったら動こう」
ロッキー 「ああ」

ロッキー 「ダグラムを動かすにはさっき言ったものだけ手に入れりゃいいんだな」
クリン 「うん。あのクルマだ」
ロッキー 「よし、それはオレとお前とでやろう」
  「チコ、ビリー、フェスタ、お前達は武器弾薬食料をかっぱらえ」
チコ 「わかった」
ロッキー 「キャナリーはここに残っててくれ」
ロッキー 「ナナシ、お前は俺達と一緒にいって見張りだ」
ナナシ 「おし」
クリン 「よし、やろう」
ロッキー 「うん」

クリン 「おっ」
  「これだ。これが燃料棒だ」
ロッキー 「よし」
クリン 「安定剤はこれだな。ん?冷却液もワンパッケージになってるのか。よっ」

フェスタ (おいおい、くいもん)
チコ (よし)
フェスタ 「!」
ビリー 「しっ」
兵士D 「野郎もうベロベロよ。で、やっと寝付いたと思ったら今度は寝言だよ」
ビリー (フェスタ!)
兵士E 「知ってる、知ってるよ『愛しのロゼッタ』『はいはい、アナタァ』ってハハハハハ」
兵士D 「野郎一人でかかえやがるんだ、イビキ歯軋り寝言、たまんねえぜ」
兵士E 「あのツラでたまんねえな、ホントに、ハハハハ」
兵士D 「しかしひどいカオしてるなあアイツ」

クリン 「!」
  「この注入ノズル、旧式だ」

ロッキー 「なんだって旧式!?使えねえのか」
クリン 「いや、理屈は同じだから、専門家なら使いこなせるんだろうけど」
ロッキー 「それじゃダグラムは動かせねえってのか」
キャナリー 「しっ」
ロッキー 「!」

ロッキー 「おい、あいつならできるんじゃねえのか」
クリン 「補給隊員だからね」
ロッキー 「よーし、あいつにやらせよう」

ロッキー 「さわぐな」
  「はやく出しちまえ」

兵士 「おい!何をしてる」

フェスタ 「見つかった」

ロッキー 「こっちだ」

兵士 「止まれ!止まらないと撃つぞ」

兵士 「うわあっ」

兵士 「敵だ!」

兵士 「あそこだ」

ロッキー 「クリン!ここは俺たちにまかせろ!フェスタ、お前も行け!」

チコ 「どうする」
ロッキー 「右へ回れ」

兵士 「コンバットアーマー隊に連絡しろ」

兵士 「この」

チコ 「!」
兵士 「うわーっ」

クリン 「必要なものはみんなある」
フェスタ 「さっさと燃料を補給するんだ」
ハックル 「あのう」
フェスタ 「なんだよ」
  「さっさとやらねえと」
ハックル 「パ、パ、パイロットは
クリン 「僕だ」
ハックル 「コックピットに入って、ジェネレーター始動スイッチを入れてください」
クリン 「オッケイ」
ハックル 「補給が済んだら僕を殺す気なんでしょ」
フェスタ 「黙ってやれ」
ハックル 「ああメガネ、ああ」

ロッキー 「くそ、やっかいなのが動き出したな
キャナリー 「よし
ビリー 「うわーっ」
キャナリー 「ええいやってやる」
ロッキー 「キャナリー、ビッグEガンはお前にはムリだ」
キャナリー 「うわあ」

兵士 「うわっ、燃える燃える、燃える」

ナナシ 「やったなッス」
キャナリー 「やったか」

ハックル (なんとか作業をひきのばさなくては)
フェスタ 「グズグズするな」
ハックル 「これサイズ合うかな」
フェスタ 「合わなかったら合わせろ!チンタラやってるとブッ殺すぞ」

ガルシア 「ガキどもめよくもだましやがったな。たたき殺してやる」

フェスタ 「クリン!終わったぞ」
クリン 「あっ、ガルシア隊がもどってきた」
ハックル 「ええっ」

フェスタ 「くそう」
ハックル 「うわあ」

ロッキー 「ダグラムはまだか」

兵士 「!」

ビリー 「ダグラムだ!」
ロッキー 「やった」

ガルシア 「どけどけ」

ロッキー 「チコ、ビリー、トレーラーをかっぱらえ」
チコ 「ようし」
ロッキー 「あとはダイナマイトで道をふさぐ」

ロッキー 「いまだ」

ガルシア 「おっ」
  「さがれ、さがれ!」

ガルシア 「うわーっ」

ロッキー 「よーし、ひきあげだ」

ハックル 「!」
  「ああ」
ロッキー 「!」
ハックル 「も、もたないぞ、ダグラムは」
ロッキー 「なにっ」
ハックル 「ちゃんと整備してないから、安定剤循環パイプが熱膨張(?)を起こしてる。一時間も動けば冷却器にも異常が出て動けなくなるぞ!」
フェスタ 「てめえ、なにも知らないと思っていいかげんなこというな!」
ハックル 「殺すなら殺せ!どうなっても知らないぞ!えーい殺せ殺せ!」

ガルシア 「ガキども、必ず捕まえてぶちのめしてやる」


(Na.)非常の時代の渦は、若者を飲み込み押し流していく。もう引き返すことは出来ない。明日に何が待つのか。進むしかない。

次回予告

作戦は成功した。だが、ダグラムに意外な弱点が。 連邦軍の捕虜を道連れに、砂漠の逃避行は続く。 誰がそれを望んだのか。誰も望みはしない。 今はただ、戦士となって、駆け抜けねばならぬ。
次回「やっかいな捕虜」
Not even justice, I want to get truth. 真実は見えるか。

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