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真実はみえるか。

#12 ためらいの照準

デスタン 「ダグラムのおかげでだいぶ遅れてる!急ぐんだ!」
フェスタ 「ちっ、一晩ぶっつづけで歩いてる身にもなれってんだよ」
ロッキー 「文句を言うな」
フェスタ 「でもよ」
ロッキー 「疲れたら誰かに代わってもらえ」
フェスタ 「そうじゃねんだよ。あいつの態度がよ」
デスタン 「若いときには哲学書をよく読んだもんだ」
デビッド 「ほんとですか」
フェスタ 「ちっ、いい気なもんだぜ」

クリン 「もうすぐ夜明けだ」

(Na)「ためらいの照準」

ロッキー 「フェスタ、約束のフォートロックまであとどのくらいあるんだ」
フェスタ 「ん?んーと」
  「そうさな、2キロ…いや、1キロ半てとこだな」
クリン 「もうすぐじゃないか」
ロッキー 「うん、フォートロックの砦には、ボナールからの情報が入っているはずだ。このへんがなんかカッカ燃えてくるようだぜ」
クリン、フェスタ、ロッキー 「!?」

デスタン 「敵だ!」
  「止まれ!各自散開!」

ゲリラ 「くそっ」

クリン 「!」
ロッキー 「あ、あのバカ」

ナナシ 「あーよく寝ただなっす」
クリン 「!」
ナナシ 「ふあー」
  「なにするだなっす」
クリン 「あれ」

ナナシ 「! ひえー」

デスタン 「ふう。ちっ、ダグラムさえなければ、こんな苦労はしないものを」

ラルターフ 「ダーク曹長、ごきげんだね」
ダーク 「あんたか。今日はいったいなんだね。こんなに朝早くからご苦労」
ラルターフ 「コーヒーでも一杯どうかね」
ダーク 「ああ」
ラルターフ 「ひとつ、どうしても聞きたいことがあるんだ」
  「今度クリンくんと会うときは戦いの真っ只中だ。ダーク曹長、君は彼を撃つことができるかね」
ダーク 「ブン屋さん特有の好奇心かね」
ラルターフ 「そうとってもらってもいい。どうなんだ」
ダーク 「それは俺も坊やを知らんわけじゃない」
ラルターフ 「それで」
ダーク 「いや、今度会えばやることにはなるだろうな。それが俺の任務だからな」
ラルターフ 「やはりそうか。しかし」
ダーク 「苦い、ブラックか」
  「オレは軍人だ。いついかなるときにでもだ。命令は絶対なのだよ」

ラルターフ 「クリン、きみはこれから」

ガルシア隊兵士 「おい、見ろ」
  「まちがいない、ゲリラのアジトだ」

ガルシア隊兵士 ガルシア隊、応答願います
オッペ 「なんだ」
ガルシア隊兵士 「アジトを発見しました」
オッペ 「なに、ゲリラのアジト!?」
ガルシア隊兵士 「ポイントS10の地点。フォートロックの地点です」
オッペ 「フォートロックか。ここから3キロくらいだな」
  「おうし、本隊はこれよりフォートロックへ向かう」

ビリー 「ヒャッホー、フォートロックだ」
ゲリラ 「おお、フォートロックだ」
ゲリラ 「ついたぞ」
ロッキー 「まてまて」
  「慌てることはない、しばらく様子を見ようぜ」
チコ 「どうしてだ」
ロッキー 「行ったとたんにドカーンなんてのはぞっとしないからな」
デビッド 「ロッキー、戦いのやり方が少しはわかってきたようだな」
ロッキー 「慎重派のアンタのおかげでね」
フェスタ 「時には臆病者も役に立つってわけだな」
デビッド 「!」
フェスタ 「やるか」
キャナリー 「やめなさいってば」
  「ふたりとも、時と場所を考えなさいよ」
フェスタ 「その怒った顔に弱いんだよな。へッ、わかったよ、ヘッ」

ロッキー 「どうやら大丈夫そうだな」
クリン 「うん」
ロッキー 「ようし、いこうぜ」

ガルシア隊偵察員 「お、おい、見ろ」
  「あ、あれは…ダ、ダグラムだ」

デスタン 「私がデスタンです」
ジョージ 「そうか、キミがね。バックスから聞いていた。私がジョージだ」
デスタン 「よろしく」
ジョージ 「うん。それで、どうなんだい、カーディナルの様子は」
デビッド 「ひどいもんですよ組織は。壊滅状態です」
ジョージ 「だろうな」
デスタン 「これからカーディナルへ?」
ジョージ 「ああ。バックスと一緒に組織を作り直さんとな」
デスタン 「それは大変ですね」
ジョージ 「なあに、どこにいようと大変なことは同じさ」
ジョージ 「デスタン、ボナールではすでにダグラムの量産体制が整っているのだ」
クリン 「ええっ」
ロッキー 「なに」
ジョージ 「しかしダグラムの設計図がない上、制作にあたった連中も死んじまっている。現物がなければどうにもならんのさ」
デスタン 「そのとおりですな」
ジョージ 「ボナールじゃ君たちのくるのを首を長くして待ってるってわけだ」
デスタン 「わかりました。一日も早くダグラムをボナールへ運びましょう」
ビリー 「よくいうよな」
フェスタ 「ほーんと。だれかさん今日はやたらかっこいい」
ビリー 「散々ダグラムを厄介もの扱いにしたのは誰だったっけ」
デスタン 「静かに」
デスタン 「ほかにはなにか」
ジョージ 「いや、それだけだ。ところで、サマリン博士の消息を聞かせて欲しいのだが」
デスタン 「それが詳しいことは」
クリン 「博士は元気です」
ジョージ 「ん?」
クリン 「連邦軍に捕まってはいますが、元気です。安心してください」
ジョージ 「本当か」
キャナリー 「わからないわよ。その人連邦軍にお知り合いが大勢いらっしゃるのよ。あっちの情報正確なのよね。フッ、ただしこっちの情報も、ってこともあるかもしれないけどさ」
  「フン」
ロッキー 「おい、キャナリー」

ガルシア 「いいアジトだ」
オッペ 「アジトの出入り口は南の山すそだけのようだな」
ガルシア隊兵士 「いや、山の頂上に向かう北の入り口にもひとつ」
オッペ 「おっ?だがありゃあ道が狭すぎる」
ガルシア 「やつら逃げるには苦労するぜ。オッペ、攻撃態勢に移れ」
オッペ 「オーケー、ボス」

ジョージ 「おい、そろそろ出発するぞ」

ナナシ 「デハーハーハー、ヒー生き返っただなっす」
チコ 「フフ、おめえは長生きするタイプだなっし」
ナナシ 「そうだなっす」
ビリー、ナナシ 「ははははは」

ロッキー 「どうしたクリン。こんなところでひとりで」
  「キャナリーのことは気にするな。兄貴のことが忘れられねえんだ」
クリン 「わかってる」
ロッキー 「クリン」
  「おまえは俺達と一緒に戦う義理はないんだぜ」
クリン 「えっ」
ロッキー 「クリン、自分のしていることがわかっているんだろうな」
クリン 「そのつもりさ」
ロッキー 「こんなことはよ、理屈じゃ割り切れねえのかもしれねえけどな。理屈の上でいい子ちゃんぶるのは簡単さ。しかしそれを突っ張りとおそうとすりゃあよ、相手をたたかなきゃならない場合も出てくるんだ。たとえそれが知り合いでもだ。俺もこの手でもう何人かやっちまった」
  「クリン、敵味方に分かれりゃ知り合いを撃たなくちゃならねえことも出てくるんだ。それはおまえがいた士官学校の仲間かもしれないんだぞ。おまえはそいつらを撃てるのか」
クリン 「!」

クリン 「はっ
ゲリラ 「うわーっ」
ジョージ 「退却!」
ロッキー 「敵襲だ!」

 

ゲリラ 「うわっ」
ジョージ 「しっかりしろ」
ゲリラ 「わっ」
クリン 「ああっ」
ジョージ 「わーーーっ!」

(アイキャッチ)

フェスタ 「ロッキー、どうする」
ロッキー 「どうするったって」
ビリー 「ロッキー、どうするよ」
ロッキー 「いちいち俺を頼るな。俺だって何がなんだかわからねえんだ。とにかく銃を持って応戦しろ」
ビリー 「う、うん」
フェスタ 「おお」

ガルシア 「へっへっへっへっへ」

キャナリー 「ほら、しっかりして
デビッド 「ど、どうしたら」
デスタン 「…」
フェスタ 「おい、こっちにけが人だ!ん?ちっ」
デスタン 「ああ…」

ロッキー 「ダ、ダグラム」
ビリー 「ああっ」

クリン 「くっ」
  「いくぞ!」

クリン 「ううっ」
  「みてろ」

ガルシア 「ちっ」
  「あんな化け物を相手にしていてはこちらの損害が大きすぎるわ。オッペ!ダーク隊を呼べ」
オッペ 「ええっ、ダーク隊ですか」
ガルシア 「そうだ。あんな怪物は正規軍と遊ばせとけ」
オッペ 「なるほど。あとで弱ったところを我々が」

オペレーター 「ガルシア隊がだいぶ苦戦しているようです」
ダーク 「相手が相手だからな」
H8パイロット 「しかしダグラムもこれでおわりですな」
ダーク 「ダグラムはオレが始末する。おまえたちは手を出すな」
H8パイロット 「はっ」

ナナシ 「だーっす」
チコ 「このっ」

ロッキー 「はっ」
ビリー 「あっ」
クリン 「どうした」

ロッキー 「いったい、どうなってんだ」
キャナリー 「?」
ビリー 「えっ」
ロッキー 「おっ?」

ロッキー 「ああっ、コンバットアーマー」
クリン 「これが来るのをまっていたのか」
ガルシア 「へっへ、来たか」
ダーク 「行くぞ」

ダーク 「オレにまかせろ」
  「はっ」
クリン 「うわーっ」
  「ええーいっ」
ダーク 「撃ち合うだけじゃない、コンバットアーマーは白兵戦用の兵器なんだよ、坊や」

クリン 「えやーっ」
ダーク 「うわーっ」
クリン 「わーっ」

クリン 「!」
  「あれはダークさんの」
  「うわーっ」

クリン 「や、やめてくれダークさん」
ダーク 「ちっ、はずしたか」

ゲリラ 「おおっ、うう」

ロッキー 「ビリー、ここはいいからダグラムを援護しろ」
ビリー 「どうやって」
ロッキー 「ジープにもう一門TOWミサイルがあったはずだ。それを使え」
ビリー 「わ、わかった」
キャナリー 「あたしも行くわ」

クリン 「や、やめてくれ、ダークさん。お願いだ」

ダーク 「逃げるな、坊主」
クリン 「うわっ」

ロッキー(回想) 「おまえに知り合いが撃てるのか」
クリン 「…」

クリン 「うわっ」
ダーク 「小僧、オレに情けをかけたつもりか」

ダーク 「しまった、やられる」
クリン 「う、撃つぞ」

クリン 「い、いまだ」

クリン 「撃つぞ、撃つぞ、撃つぞ!」
ロッキー(回想) 「おまえに知り合いが撃てるのか」

クリン 「クリン「あっ、…」

ダーク 「小僧、その弱さが戦場では命取りだ」

ビリー 「ええい」
キャナリー 「いくよ」

ダーク 「ちっ、こざかしい」
キャナリー、ビリー 「ああっ」

クリン 「あっ、やめろ、やめろーっ」
  「やめてくれーっ」
  「わーっ」

ダーク 「んんっ」
クリン 「うわあーっ」

H8パイロット 「このやろうっ」
クリン 「…」

レーク 「ダークがやられた」
部下 「ダグラムに倒されたという報告が、たった今」
レーク 「な、なんということだ」
デイジー 「ど、どうしてなの、クリン」

オッペ 「けっ、正規軍もだらしのねえ」
ガルシア 「そうあせるな。チャンスはいくらでもある。いくらでもな」
  「へへへへ」

クリン 「撃ってしまった…この手で」
  「…」
ロッキー 「クリン!何をしている、行くぞ」
  「どうしたクリン」
クリン 「そ、そうだ。いかなくちゃ」

クリン 「いかなくちゃ」


(Na.)非常の時代の渦は、若者を飲み込み押し流していく。もう引き返すことは出来ない。明日に何が待つのか。進むしかない。

次回予告

過ぎ去った思いは断ち切れ。公開は戦場に置き去りにしろ。明日のために考えなければならない。自ら敵に襲い掛かるための作戦を。
さすらう若きゲリラたちには、悲しみよりも身を守る弾の方が重いのだから。
次回、「敵補給隊から奪え」
Not even justice, I want to get truth. 真実は見えるか。

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